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[[대본 입니다]]ROOKIES(ルーキーズ) 第01話

작성자우유식빵~*|작성시간09.01.05|조회수809 목록 댓글 0

ROOKIES(ルーキーズ) 第01話

『新人教師と不良たちの熱き戦いが今始まる』

第89回全国高校野球東東京大会
9回の表、F校の攻撃。
F校、4点。N校、1点。
2ストライク2ボール2アウト。

「あと一つ。」

ピッチャーの投げたボールがバッターに当たりそうになる。
慌ててバッターに駆け寄るピッチャー。

「あと一つ勝てば、夢に又一歩近づく・・」

背番号10のバッターは、謝りに来たピッチャーにバットを振り上げ、
そして思い切り振り下ろす。

「はずだった。」

ベースに散らばる赤い鮮血。
頭を抱え込んで倒れるピッチャー。
バットをグランドに落とすバッター。

「あの夏・・・。」

観客席にいた高校生たち、選手たちがグランドに駆け寄り、
大乱闘が始まる。

「俺たちの高校野球は・・・」

ベンチで動けずにいた、安仁屋恵壹(市原隼人)の手から
野球ボールが落ち・・・。

「夢に終わった。」


衝撃的なシーンで始まりました。
F校の野球部員たちは、最初は乱闘を止めようとしていたのですね。
ナレーションは、安仁屋です。

2008年4月
スーツ姿にディパックを背負った男が、多摩川の土手を疾走する。
ネクタイ結びと格闘しながら走る男。
その男の名前は、川藤幸一 (佐藤隆太)。
二子玉川学園高校に赴任することになった、新米教師だ。
「申し訳ありません!
 あの、寝坊したわけではないんです!
 ネクタイを結ぶのに手間取ってしまって!
 すみません!でも今猛烈に飛ばしてます!
 すぐ行きます!失礼します!!」
電話でそう話しながら、ネクタイを落としたことに気づかずに
走り続ける。

校長室
「校長!よりによってなぜ彼のような男を!
 理由はどうあれ、彼が前の学校でしたことは教育者として許されることでは、」
池辺教頭(浅野和之)が村山校長(伊武雅刀)に言う。
「だから!採用したんだよ。」

校長が読んでいた新聞には、
『第89回夏の全国高校野球東東京大会
 暴力野球部 観客と大乱闘
 二子玉川学園高校野球部
 半年間の活動禁止処分
 問われる学校の管理責任』の記事。

不敵な笑みを浮かべる校長。

やっとの思いで登校すると、校門を感慨深く見つめる川藤。
「私立 二子玉川学園高等学校。
 ・・・御世話になります!!」
校舎に向かって深くお辞儀をする。
嬉しそうに校舎を見つめながら、ポケットに入れたネクタイを探す川藤。
「あれ!?え!?落としたーーーっ!!」

と、そのとき、「ガシャン!」と校舎の窓ガラスが割れる音とともに、
女生徒の悲鳴が…。

音のする廊下へと川藤が向かうと、慌てふためく生徒たちと、
教師の 掛布光秀 (天野ひろゆき) と 遠井周三 (森山米次)、
辻豊 (やべきょうすけ) の前で、
関川秀太 (中尾明慶) と 若菜智哉 (高岡蒼甫)、桧山清起 (川村陽介)
たちが、3年生の 国枝 (鈴之助) らと乱闘騒ぎを起こしていた。
「止めなさい!」壁に隠れて生徒たちに声をかける教師たち。
「こんな遠くで叫んでないで、早く止めにいきましょう!」
止めに入ろうとする川藤と、それを制止する掛布たちの背後から爆音が !?
振り返ると 今岡忍 (尾上寛之) と 平塚平 (桐谷健太) が、
バイクに乗って突っ込んできた。
慌ててよける生徒たちの間をバイクが走り抜けると、
若菜らに羽交い絞めにされた国枝に、平塚がラリアットをキメる。
走り去るバイクと不良たち…。
「この、野球部の、クズどもが!」
彼らが立ち去ると掛布が手を腰に当てて言い捨てる。
「野球部?」と川藤。

野球部室の前に座り込み、壁にボールを当て一人キャッチボールをする
御子柴徹 (小出恵介)。
他の部員たちが、「未練がましくこんなもん触ってるんじゃねー。」と
ボールを放り投げる。
部室に入ろうとする部員たちを必死に止める御子柴。
それを無視して入った部員たちが見たものは・・安仁屋と女子生徒との
エッチ場面!

渡り廊下を歩く川藤と教頭。
「この学校っていつもあんな風なんですか?」川藤が教頭に聞く。
「彼らのことはいいんだよ。
 それより、これして。」
「え!?教頭先生ネクタイ2本も持っているんですか!?」
「こっちが合うかな。」
もう一本取り出す教頭。
「え!?なんで!」
「常識だよ。」

「誰だ?」その様子を見ていた新庄慶 (城田優)が呟く。

野球部部室
「わりぃ!」安仁屋に見てしまったことを謝る部員たち。
「苦労してやっと連れ込んだのによ。
 誰も入れんなって言っただろ!」
タバコをくわえながら御子柴を蹴る安仁屋。
「悪かったよ。」御子柴が謝る。

「ただいまより、朝礼を行いますので、
 生徒の皆さんは、体育館に集合して下さい。」
校内アナウンスが流れる。

「女かな!」とはしゃぐ部員たち。
「多分ヤロウだ。」新庄がやって来た。
「お!めずらしく早いじゃん。」
「どうする安仁屋。」
「行くか。」安仁屋が新庄に微笑みかける。
「行くぞ!」と新庄。
「おーっ!」
安仁屋、新庄、関川、若菜、桧山、 岡田優也 (佐藤健)、
湯舟哲郎 (五十嵐隼士) らは、新しく着任した先生を見に行こうと
体育館へと向かうが、一緒にいた 御子柴は、切ない表情でその場に
立ち尽くしていた。
「御子柴?」それに気づいた関川が声をかける。
「先行けよ。」そう言い、野球ボールを拾い合える御子柴。
「そんなもん触ってると、またイビられるぞ。」関川が忠告する。
ボールを手に取り悲しそうに見つめる御子柴・・。

体育館
村山校長の話が丁度終わったところへ、野球部の7人が登場。
あからさまに嫌な顔をする生徒たち。
野球部仲間の平塚 平(桐谷健太)と今岡 忍(尾上寛之)は
7人が朝礼に来たことに驚く。
遅れて御子柴もやって来た。

池辺教頭が川藤を紹介する。
緊張の余り、マイクを通り過ぎてしまう川藤。
それとなく一歩戻ると、生徒たちが笑う。
「カワっ」第一声、声がひっくり返ってしまう。
「川藤幸一です。
 受け持ちはゲンコッ・・
 受け持ちはゲンコク・・
 ・・受け持ちは現代っ子です!!
 あ!!現代国語です!!」
生徒たちは大笑い。
「教師になってまだ1年目のルーキーですが、
 ・・・夢に向かって、一緒に頑張りましょう!!」
川藤のあいさつに、安仁屋たちは揃って爆笑。
ただ一人、御子柴は「夢・・」と小さく呟く。
「おい!夕日に向かって一人叫んでろよ!バーカ!」と若菜。
川藤は深呼吸すると、
「夢は不満足から生まれる!
 満ち足りた人間は夢を見ない!
 ・・フランスの作家、モンテルランの言葉です。
 みなさんはまだ高校生です。
 いろんな意味で、未完成だと思います。
 だからこそ、夢を持てるんじゃないでしょうか。
 夢を持つと、それを敵えようとして努力する。
 努力すると、明日がキラキラ輝いてくる!
 もしこの中に、まだ夢を持っていない人がいたら、
 一緒に見つけましょう!
 もし、この中に夢にくじけた人がいたら、
 諦めないで!一緒に頑張りましょう!」
川藤は目を輝かせながら生徒たちに語りかける。

あの日のことを思い起こす安仁屋が、「無駄だよ!」と叫ぶ。
すると川藤は笑顔で安仁屋を見つめ、
「待ってたって夢はかなわないぞ。
 だから、こっちから掴みに行こう!」と語りかける。

「な、何を掴みに行こうって?」と平塚。
「夢・・じゃない?」と今岡。

真剣な眼差しで安仁屋たちを見つめる川藤。
川藤を睨みつける野球部員。
川藤が小さく頷くと、
「みんな!夢にときめけ!
 明日にきらめけ!」
そう言うと、満面の笑みを浮かべて生徒たちを見つめる。

いいな~!佐藤さんの笑顔!

公式HP川藤語録 、第一話からはモンテルランの言葉が
取り上げられています。

校長室
「いいかい!?
 ネクタイっていうのはね、教育者としての権威の象徴なんだよ!」
教頭が川藤を叱る。
「権威の・・象徴?」
ネクタイをマジマジと見つめる川藤。
そこへ、校長がやって来た。
「あ!校長先生!
 採用していただき、本当にありがとうございます!!
 前の学校を辞めたときは、正直二度と教壇には立てないと
 思っていました。
 ですが、自分なりに色々と思いなおし、
 一から出直すつもりで考えていたところ、
 今回、このような、」
「何を思いなおす必要があるんです?」と校長。
「え・・」
「川藤先生は、今までどおりのやり方で、生徒を教育して下さい。 
 期待していますよ。」
川藤と握手をする校長。
「はい!頑張ります!」

職員室
「あー!また教師になれたー!」と感激する川藤。
ふと、隣の机を見ると、前任校で同僚だった 真弓りえ (吹石一恵) がいた。
「うわっ!!真弓先生!!」
「どうも!」
「真弓先生、こいつと知り合いなんですか?」と掛布。
「前の学校で一緒だったんです。
 今回は・・いろいろと気をつけて下さいね。」
「・・はい。気をつけます。」
「気をつけるって何をです!?」
掛布が聞き返したとき、就業のベルが鳴る。
「よっしゃーーーっ!!行くぞーーー!!」
勢いよく立ち上がった拍子に、川藤のイスが掛布の手に激突するが、
それにも気づかず張り切って教室に向かう川藤。
そんな川藤を真弓は心配そうに見つめ・・。

2年B組
「おはようございます!!」
川藤の元気な挨拶に笑顔を浮かべる生徒たち。
「起立!」
「今日から、」
「礼!」
一緒に礼をする川藤。
「今日からみなさんと一緒に勉強することになりました、
 川藤幸一です。
 よろしくお願いして下さい!!」
生徒たちが笑う。
「着席!」
クラスを見渡す川藤。教室の後ろの席が空いているのに気づく。
「あれ?あそこの席は?」
「野球部の人たちの席です。」八木塔子 (村川絵梨) が答える。
「野球部?」

野球部の部室
タバコを吸い、マージャンやピンボールで遊ぶ部員たち。
デリバリーのピザを食べている生徒もいる。
「ふざけたヤロウだな。
 何が夢にときめけだ。」と安仁屋。
「あれ?そういえば川藤とか言わなかった?」と若菜。
「さっきのヤツのこと?」
「神田川の教師のさ、生徒半殺しにしたヤツがいるんだよ。」と若菜。
「半殺し!?」
「あいつなワケねーだろ。
 時代遅れの熱血バカだぞ。」と岡田。
「同じ川藤でも偉い違いだにゃ~。」と湯舟。
「どうせならそっちの川藤が来いっつーの!
 相手になってやんよー!」と平塚。
「でもよ、さっきの川藤みたいに暑苦しいのって
 結構手ごわいかもな。」と関川。
新庄の投げたダーツが関川の近くに飛んでいく。
「どんな球が飛んでこようと俺らはなんも変わらねー。
 今までどおりだ。
 な、安仁屋。」と新庄。
「ここは俺たちのパラダイスだ!」と安仁屋。
「ホテル代わりにしちゃってるのは、安仁屋だけだけどにゃ~!」
「本当だよ、紹介しろ!イェー!」
部員たちは大騒ぎ。
そんな中、微笑み会う安仁屋と新庄。

部室の外で一人キャッチボールをしていた御子柴は、
部室のドアが開くとボールを隠す。
出て来たのは、関川だった。
「なー御子柴。お前何が楽しくて学校来てるんだ?
 こんなトコいたって、もう野球なんか出来ないだろ。」
「・・・わかってるよ、そんなこと。」

そこへ、川藤がやって来た。
「おい!御子柴に関川!」
「はぁ!?」と関川。
「ほら教室に戻って、授業始めるぞ。」
「お前なんで俺たちの名前知ってんだよ!」と関川。
「それより他の連中は?この中か?」
部室に入ろうとする川藤を必死に止める関川と御子柴。
「ここには誰もいないよ!」と御子柴。
その時、部屋の中から
「国枝に襲われた!?」と声が聞こえてくる。

部室の中
「あいつら今朝待ち伏せしてやがってよ。」
「やられたのか?」安仁屋が聞く。
「ノンノン!僕ちゃんのラリアットで天国行きよ。
 なんせあの長州力の!セコンドの、友達の妹のモトカレ直伝の
 ラリアットだからよ!」と平塚。
「平っち・・それ一般人だよね。」と今岡。
「おう。」
「3年のヤツそんなに俺たちのせいで甲子園目指せなくなったって
 思いてーのかよ。」
「つーか行けるわけねーんだよ、甲子園なんか。
 無駄な夢見やがってよー。バカじゃねーの!?な!」と安仁屋。
「なー!」と一同。

そこへ、川藤が入っていく。
驚いて眉毛をそり落としてしまう平塚。
慌ててタバコを消す生徒たち。
ヘアーアイロンで髪を焦がす桧山。

「今バカと言ったのは誰だ!
 くだらない夢だと言ったのは誰だ!」と川藤。
「・・・」
安仁屋が笑みを浮かべて手を挙げる。
安仁屋に歩み寄ろうとする川藤を、バットで阻止する新庄。
「出てけよ。ここは18歳以上立ち入り禁止なんだ。」
拳をぎゅっと握り締める川藤。
「なんだ?殴るのか?」と新庄。
「無理すんなって。ルーキー先生。」と安仁屋。
「燕雀安んぞ!鴻鵠の志を知らんや!」
「???」
「小鳥は大鳥の心をはかり知ることが出来ない。
 小さい人間には、偉大な人の志など理解できないという意味だ。」
「・・・」
「志の大きさは、その人間の大きさだ。
 夢に向かって努力する人をバカにするな!」
川藤はそう言い生徒たちを見渡すと、新庄の持つバットを掴み、
下に下ろす。抵抗する新庄だが、川藤の力に敵わなかった。
川藤が部室を出ていく。

体育館
川藤は空手部顧問の真弓に、野球部に何があったのかを聞いてみる。
「活動禁止!?
 で、その暴力事件って言うのは?」
「夏の予選大会で、相手のピッチャーをバットで殴ったのよ。
 それが発端で乱闘になったの。
 知らないの!?」
「いや・・全く。」
「バットで殴った生徒は、すぐに転校していったみたい。
 それから、野球部は半年間の活動禁止処分を受けて、
 監督も、レギュラーだった上級生も、
 あの子たちと揉めて辞めていっちゃって、残ったのが・・」
「今のメンバーだけ・・」
「そう。
 私もね、あの子たち、」
何かいいかける真弓だったが、部員に呼ばれて話は中断する。

学校の図書館
当時の新聞記事を調べる川藤。
新聞を読みながら、川藤は自分の過去を思い出していた。
暴れる生徒(森山未來)を取り押さえようとしたとき、
弾みで生徒は教室の窓から落下してしまい・・・。

グランドに行った川藤は、そこで寂しそうに野球ボールを見つめる
御子柴の姿に気づく。
「御子柴・・・。」

川藤が職員室に戻ると、別の教師が退学届けを渡す。
「さっき君のクラスの御子柴が持ってきたよ。」
「退学届け・・・。
 何で・・。」
「クズが一人消えてくれて助かりましたね。」
「何で止めてくれなかったんですか!!」
川藤が走り出す。

バッティングセンターで遊ぶ元野球部3年生たち。
「何やっているんですか?先輩。」
安仁屋たちが不敵な笑みを浮かべて声をかける。
「安仁屋・・」
「若菜たちが今日、世話になったみたいですね。」と安仁屋。
安仁屋と新庄の後ろには、若菜、関川、若菜。
別方向から平塚、今岡、岡田、湯舟が3年生を取り囲む。

「いいこと教えてあげましょうか。
 バットっつーのは、人を殴るもんでも、ガラスを割るもんでもなくて、
 ボールを打つもんなんすよ。」
バットを構える安仁屋。
その先には、ネットに括りつけられた5人の3年生。

川藤は御子柴クリーニング店を訪ねていく。
「あの、すみません。」
「はい、いらっしゃいませ。」姉(綾瀬はるか)が応対する。
「どうも、あの・・はじめまして!
 川藤・・いや、御子柴君のクラスの担任になりました、
 川藤幸一と言います。」
「先生?」
「はい。」
「徹の姉ですが、あの子、何かしたんですか?」
「いえあの・・御子柴君は・・」
「まだ、帰ってないんですが。」
川藤は店の傘立てに置いてあるバットとグローブに気づき、微笑む。
「あ、徹!」姉の声に振り返る川藤。
「御子柴!」
御子柴は川藤の姿に逃げ出した。
「おい!ちょっと待て!」川藤が追う。

自動販売機でタバコを買おうとする安仁屋。
返却レバーをまわす塔子。
「先輩たち苛めて楽しい!?」
「バットの使い方教えてやっただけだよ。」
「へー!使い方まだ覚えてたんだ!」
「・・・」
「ね、そろそろ野球やったら?」
「お前がやらせてくれたら、考えてあげよう。」
「は?」
「バーカ。」
「・・・いいよ。」
その返事に動揺し、小銭を落とす安仁屋。
「は!?」
「・・・バーーカ!」
「だ、誰が、お前なんかと。」慌てて小銭を拾う安仁屋。
「ねー恵ちゃん!」
「恵ちゃんって呼ぶな!
 もうガキじゃねーんだよ。」
そう言い逃げ去る安仁屋。
「私だってもうガキじゃねーよ!」

不良グループのボスと化した安仁屋も、
幼なじみ・塔子の前では普通の男の子なところに安心しました。

御子柴を捕まえた川藤、
「どうして逃げるんだよ。
 俺怒りに来たんじゃないぞ。」
「ほっといてくれよ!もう学校辞めたんだよ!」
川藤がポケットから取り出したのは野球のボール。
「お前がグランドで投げたボール、これ大事なものだろう?」
「・・・捨てたんだよ。」
「学校を辞める理由はそれか?」
「・・・」


安仁屋は河原で話す川藤と御子柴の姿を目撃する。

「俺もな、去年初めて教壇に立った高校を辞めたんだ。
 偉そうなこと言ってるけど、いろいろあって夢を諦めかけたんだ。」
「・・・いろいろって?」
「・・・夢を敵えるのって、難しいよな。」
「敵わないから夢なんだよ。」
「・・聞いたよ。去年の夏の事件。」
「・・・あれから変わったんだよ、みんな。
 もともと真面目なほうじゃなかったし、
 甲子園目指すとか、そういうこと口では言ってなかったけどさ、
 みんなそれぞれ、想いとか、夢とかあって・・・
 だから部活だけはちゃんと出てたのに・・。」
「活動禁止の期限って終わったんだろ?」
「・・・先生知ってる?
 授業に出なくても、出席したことになってるんだよ、俺たち。
 退学にするのも体裁悪いから、
 学校は、俺達が自首退学するのをじっと待ってるんだよ。」
「御子柴・・」
「俺がね、俺が甘かったんだけど・・
 半年間反省すれば、また野球出来るようになるって思ってたんだ。
 けど・・活動禁止になったことで・・
 責任取れっていう先輩たちと、毎日毎日ケンカを繰り返すようになって、
 そのせいで、先輩たちは辞めてっちゃって。
 学校がそうしたのかはわからないけど、
 監督も辞めて。
 もう野球なんか出来るような環境じゃなくなっちゃったんだ。
 その上、周りからは、野球部を潰した暴力集団、っていう、
 レッテルを貼られて。
 そうなるともう、もがくだけ無駄っていうか・・
 みんな、流されるように・・
 今更野球なんてっていう雰囲気になっていって・・。
 気づいたら活動禁止は解けたのに、
 もう、野球っていうヤツはいなかった。
 自分たちで潰したってことはわかってるけど、
 諦めるしかなかったんだよ。
 だったらそんな学校にいたってしょうがないし、
 さっさと見切りつけて、どこか就職して、
 社会人野球でもいいかなって。
 ・・先生俺ね、向上心持って辞めるんだよ。
 野球がやりたいから。」
「・・・」
「下手だけど・・野球しかないから・・。
 でも・・でももし出来たら・・・
 みんなともう一回・・野球したかったな・・。」
そう言うと、御子柴は"ニコガク"と書かれたボールを見つめて
涙をポロポロとこぼす。
川藤はそんな御子柴を黙って見つめ・・・。
「俺が応援する!
 約束する。
 卒業するときは、笑ってみんなで卒業しよう!」
「でも・・」
「あいつらがそれでも野球部を止めなかったのは何でだ?」
「・・・」
川藤が退学届を御子柴に差し出す。
「これを出すのは、俺を見てから決めてくれ。」
御子柴が退学届を受け取る。
嬉しそうに微笑む川藤。
「よーーーし!やるぞー!!
 何が、教育者としての権威の象徴だ!
 こんなもんしてるから生徒との間に、壁が出来るんだ!」
川藤はネクタイを外して川に放り投げる。
微笑みあう川藤と御子柴。
ネクタイが流されていく。
「・・・うぉーーー!!教頭のネクタイーーー!」
慌てて広いに行く川藤、転んでずぶ濡れになりながら、必死にネクタイを探す。
そんな川藤を見つめながら楽しそうに微笑む御子柴。

安仁屋は険しい表情を浮かべて黙ってその場を去る。

川藤の家
ネクタイを丁寧に干した川藤は、毛布をかぶりながら、
野球部員の顔と名前を覚えていく。
大きなくしゃみで写真を汚してしまうと、
「うわー!すまんお前たち!」
慌ててティッシュで拭いていく。


荒れたグランドを見つめる川藤。
「よーし!」
そんな川藤を安仁屋が見ていた。

職員室
「野球部!?」と教頭。
「はい!野球部の顧問をやらせて下さい!」
「まあ・・こちらとしては願ってもないことだけど・・」
「ホントですか!?」
「しかし、彼らとはあまり関わらない方が、」
「ありがとうございます!!
 あ、あと、教頭、これ、ネクタイです。
 どうもありがとうございました!
 ちゃんと、乾かしておきましたから。
 それでは!授業行ってきます!!」
「・・・乾かす??」

「なんか素敵ねー。、男らしい!」と保健の先生。
「大丈夫かな・・。」と真弓りえ。

りえの呟きに、掛布は不安な表情を浮かべ・・・。

教室に向かう川藤を掛布が追いかける。
「見え見えなんだよ、君の魂胆は!
 どうせ、ヒーローを気取って、美人の先生の気を引こうっていうんだろ!?
 はっきり言っておくけどね、真弓先生と僕はね、」
「はい。」
「内緒だけど、飲み会で二度、隣の席に座った程の中なんだよ!
 ハッハッハ!」
「・・・」
「どうやら、鈍感なキミも、察しがついたようだね。
 だからキミは無理せず、適当にやっていればいいんだよ。」
「適当って・・」
「あとね、僕のことは先輩と呼んでくれ。」
「はい。」
「これ、ポールスミス!」
「・・・はぁ。」
呆れて立ち去ろうとしたその時、川藤が異変を察する。
向かいの校舎屋上から、野球ボールが投げ込まれたのだ。
「先輩!」
慌てて掛布を突き飛ばして守る川藤。
突き飛ばされた掛布は壁に激突し、鼻血を出す。
向かいの屋上で、安仁屋が微笑んでいた。
川藤は安仁屋が投げたボールを広い・・そして微笑む。
「適当になんてやってられないな!」
異変に気づく川藤。ズボンに穴が開いてしまっていた!
「ノーーーーッ!!」

生徒たちは、短パン姿で現れた川藤の姿に大笑い。
「いやああの、ズボン破けちゃってな。」
クラスを見渡す川藤は、御子柴の姿に嬉しそうに微笑む。
御子柴も微笑み返す。
そこへ、安仁屋がやって来た。
クラスの雰囲気が一瞬で凍りつく。
「あれ?どうしたの?
 ほら、さっきみたいに騒げよ。」と安仁屋。
塔子が安仁屋を睨みつける。
近くにあった机を蹴り飛ばし、自分の席につく安仁屋。
「遅れてすみませんね。」
「安仁屋。歓迎してくれるのは嬉しいんだけどな。」
川藤はそう言うと、ポケットからさっきのボールを取り出す。
「WELCOMEってこうじゃなかったっけ?」
WELCAOME
安仁屋の間違いを訂正したボールを見せる川藤。
自分の間違いにはっとする安仁屋。
クラスメートが間違いを笑う。
机を蹴り飛ばして怒りをあらわにする安仁屋。
そんな安仁屋を静かな微笑みを浮かべて見つめる川藤。

休み時間、廊下から向かいの校舎の屋上を見つめる。
「いい肩してるなー!」
そこへ、教頭がやって来た。
「川藤君!!
 君は変質者か!そんな格好で校内をうろついて!! 
 たまたま私が、変えのズボンを持っていたから良かったようなものの、」
「エーーーッ!!」

教頭先生のスペアのズボンに履き替えた川藤。
「ちょっとこれ・・キツい・・。」
購買部には生徒の山。
人ごみの中から菓子パンを抱えた御子柴が出てきた。
「御子柴!今日の放課後グランドの草むしりやらないか?」
声をかける川藤を無視して先を急ぐ御子柴。

ふと向かいの校舎の屋上を見ると、煙が上がっている。
「おーーーーっ!!」

屋上でタバコを吸う野球部部員たち。
「川藤が、野球部の顧問になった!?」と若菜。
「おぅ。御子柴が言ってたんだよ。」と関川。
「ヤロウ舐めやがって。」

「早いトコ手を打った方がいいな。」と新庄。

「お!時間だ。そろそろカウントダウン始めるぞ。」と岡田。
「5、4、3、2、1!」
菓子パンを買って戻った御子柴が、屋上に転がり込む。
「アウトー!御子柴の奢りー!」

「火事はどこだ!!」
防災頭巾をかぶった川藤が、消火器を手に駆けつけた。
「火事じゃ・・」
部員たちは慌ててタバコの火を消す。
ただ一人、御子柴が平然とタバコを吸い続ける。
川藤が歩み寄ると、御子柴はタバコの煙を吹きかける。
安仁屋のタバコを持つ右手を握り締める川藤。
その握力に驚く安仁屋。
「二十歳未満は喫煙禁止だぞ。捨てろ。」と川藤。
安仁屋は怒りに満ちた目で川藤を睨み、彼の左手が動く。
その動きを素早く察した川藤は、彼のパンチを交わす。
が、ビリっという音が川藤の気をそらす。
「ウォーーーッ!!」
次の瞬間、安仁屋のニ発目が川藤に命中。
安仁屋は川藤に握られた右腕の痛みに驚く。
その場を逃げ出す野球部員たち。
御子柴は倒れた川藤を見つめている。
「御子柴?」と関川。
鼻血を出しながら立ち上がる川藤。
「もういいよ、先生。
 やっぱ、無理だよ。
 俺たちのことはほっといてくれよ!」
御子柴が、関川が屋上を立ち去る。
「・・・教育って痛いんだな。」そう言い微笑む川藤。
「!!あーーーっ!!」
教頭のズボンが裂けてしまっていた。

教室
「何考えてんだお前!
 教師殴ったらクビだぞ!
 卒業はしといて損ねーって、いつも言ってんだろ!」
若菜が安仁屋に言う。
川藤に握られた右腕をさする安仁屋は、仲間を無視して
教室を出ていこうとする。
「利き腕掴まれてカっとなったんでしょ!」と塔子。
「・・・」
安仁屋が教室を出ていく。

図星のようです。

「あー、俺たちのタバコも見付かったよにゃ~。」と湯舟。
「つーか大体、何であそこに川藤が来るんだよ!」と岡田。
その言葉に、新庄は御子柴に掴みかかる。
「お前あいつに付けられてたんじゃねーのか?」
「・・まさか。」
新庄が御子柴を殴りつける。
「テメーのせいで安仁屋がクビになるかもしれねーんだよ!
 仲間を何だと思ってる!
 もし安仁屋がクビになったら、どうなるかわかってんだろうな!」
「・・・」

職員室に忍び寄る関川。
「違います!この傷は、転んだだけです!」
川藤が教師たちに説明している。
「正直に言えよ。クズを一人、自首退学にさせるチャンスなんだ。」
とメガネの教師。
「教師だったら退学より更生をさせることを考えるべきじゃないんですか!?
 それが教育ってものじゃないんですか!?」と川藤。
「悪事を隠すことが君の教育なのか!?」
「・・・だから、階段から落ちたと言ってるんです。」
「さっき、転んだだけだって言ったじゃないですか。」と別の教師。
「いやだから・・階段で・・転んで、落ちたんですよ。」
「どんな風に?」
「どんな風にってあの・・ですからこう、
 階段の一番上で転んでですね、落ちてったところに、丁度、」
「最初に言ったはずだよ、私は。
 川藤君のやり方に任せると。」と校長。
「ありがとうございます!!」と川藤。

野球部の部室
「処分なし!?」
「ホントだよ。川藤のヤツ転んだって言い張ってんだよ。
 タバコのことも、一切チクってねー。」
「安仁屋と俺たちを庇ったってことか?」と平塚。
「何でだよ。あり得ねーだろ、普通!」と若菜。
「何考えてるんだ・・」と安仁屋。
「ウォーー、考えられない!」
ルービックキューブを投げ出す平塚。
それをあっという間に完成させる今岡。

「ヤベーかもしれねーぞ。俺たちの居場所。
 川藤は俺たちを追っ払おうとしているわけじゃない。
 かといって逃げるわけでもねー。」と新庄。
「じゃあ何だよ。」
「あのヤロウ、俺たちを変えようとしていやがる。」
「・・・」
「若菜あいつよ、」新庄が若菜に語りかける。

部室の外にいた御子柴は・・・。

保健の先生の下着の色をらせん階段の下から覗く平塚と今岡。
「今日は桃色かー。」「うん!」
二人は手帳にチェック!

部室の鍵を閉めた御子柴は、ポケットから退部届を取り出し、
そして川藤の言葉を思い起こす。

「川藤って何者なんだよ。」関川の声に驚く御子柴。
「・・・」
「お前川藤と何か話したんじゃねーの?」
「いや・・別に。」
「何でもいいけどよー、お前気をつけろよ。
 新庄に知れたらマジで殺されっぞ。」
「・・関川。」
関川は笑顔で立ち去ろうとする。
「なあ俺たち変われるかな。」
「は?」
「応援するって言ってくれたんだ。
 笑って、みんなで卒業しようって言ってくれたんだ。
 変わりたいんだよ、俺・・。」
「・・・」

陸上部の練習を見つめる関川。
「何も変わらねーよ。」と寂しそうに呟く。
そんな中、グランドの雑草を引き抜く川藤の姿に気づく。
「川藤!?」思わず大声で叫んでしまう。
川藤は関川に気づくと人懐っこい笑顔で駆け寄る。
「おーー!関川!」
「お、お前何してんだよー!」
「草むしりだよ。こんなに荒れてちゃ野球できないだろ。」
「バカじゃねーのお前。誰もやんねーよ。」

「川藤君。早くその万引きの常習犯を連れてってくれよ。」とメガネの教員。
「万引き!?」と川藤。
関川が教師を睨みつける。
「関川。だからお前を陸上部に入れなかったんだよ。
 問題起こされると迷惑だからな。」
「・・・」
「おい、タイム測るぞ。」その教師が陸上部員たちに言う。
「はい!」
その教師を睨みつけていた関川は、拳を握り締め・・
「はい、用意。」
カバンを投げ捨てる関川。
教師が合図のピストルを鳴らす。
一斉に走り出す陸上部員。
「やめろ関川!」
川藤を無視して、関川が走り出す。
関川は怯える教師を通りすぎ、ゴール目指して疾走!
陸上部員を追い抜き、一番でゴールするのだった。
関川に睨まれ悔しそうに立ち去る教師。
「おーーー関川ーー!!すごいぞ関川ーー!!」
川藤の満面の笑みに、関川の表情が和らぐ。

安仁屋酒店
帰宅した息子に、勉強しろと叱りつける父親。
だが、店には息子の活躍を称えるトロフィーや記念写真が
いくつも飾ってあった。
安仁屋は悲しそうに野球のボールを見つめ・・・。

家族の温かさを感じさせます。


学校に向かいながら真弓と話す川藤。
「ドリームチーム?」真弓が聞き返す。
「ええ。関川はものすごい俊足ですし、安仁屋は抜群の肩を持ってるし、
 御子柴にはやる気があるし。
 甲子園だって夢じゃないかもしれませんよ!」
「野球部も、まだ再開してないのに?」
「今日から再開します!見てて下さい!」
笑顔で立ち去る川藤。
「甘く見ない方がいいと思うけどな。あの子たちを・・。」

2年B組
「おはようございます!」
元気に生徒たちに声をかける川藤。
だが、クラスの雰囲気が変だ。
野球部員たちも全員席についている。
「おー!初めてクラス全員そろったな!」
不敵な笑みを浮かべる部員たち。
他の生徒たちはなぜか俯いたまま。
「うん?どうした?」

校長室
「私がいつ野球部の連中を更生してほしいと頼んだ。」と校長。
「いや・・でも、校長・・」と教頭。
「忘れたのか?
 川藤君がなぜ神田川高校を辞めたのか。」
「・・・」
校長が微笑む。

教室
黒板を見つめる川藤。
『やめろ!!
 暴力教師
 川藤は前の学校で
 教え子を半殺しにした!
 金属バットでメッタ打ち』
「神田川高校のヤツに聞いたんだよ。
 張本ってヤツ半殺しにしてクビになったんだって?」と若菜。
「・・・」
「黙ってねーで何とか言えよ!」新庄が机を蹴飛ばす。
生徒を見渡す川藤。
「・・・そのとおりだ。」
「ふざけんなよ!」
「バケの皮が剥がれたな!偽善者!」と若菜。
「なあ、やめてくれよ。
 テメーみてーな暴力教師がいたんじゃ、みんな怖くて勉強どころじゃ
 ねーんだよ!」と新庄。
野球部員以外の生徒たちが怯えた目で川藤を見つめる。
野球部員たちが辞めろコールを始める。

騒ぎを聞きつけた真弓が教室に駆け込む。
「やめなさい!静かにしなさい!
 川藤先生はね、」
「いいんです。事実ですから。」と川藤。
「でも・・」
「黙っててすまない。
 確かに俺は、人間的に未熟で、猛烈に反省した時期があった。」
「だから?許してもらえるとでも思ってんのか?」
「いや。一時は教師になる夢を捨てようと思った。
 だけど・・生徒を応援したいっていう夢は、
 その夢だけはどうしても捨てられなかったんだ。
 俺にはそれしかないから。
 そんな時に、校長先生からチャンスを貰ったんだよ。
 だから俺は、このチャンスを最大限使わせてもらう!」

「屁理屈たたいてんじゃねーぞ!」桧山が机を蹴飛ばす。
「桧山。もし俺がつまらない人間だったら、
 その時は、容赦なく言ってくれ。
 潔く教師をやめるよ。」
「・・・」
「それなら自分はその程度の人間だったって、諦めもつく。」
新庄が歩み寄る。
「頭悪いな。
 テメーに選ぶ権利なんかねーんだよ。」
「新庄。お前の夢はなんだ?」
「わかんねーヤロウだな!」
新庄の拳を受け止める川藤。
「手って不思議だよな。
 握れば拳。
 開けば掌(たなごころ)。
 掌っていうのは、手の心っていう意味だ。」
新庄の拳を開き、自分の掌と重ね合わす川藤。
「俺は、いつかお前が、自分でこの拳を開いてくれる日がくるって、
 信じてるからな。」
「・・・」
安仁屋が立ち上がり、教室を出ていこうとする。
野球部員たちが安仁屋に続く。
「安仁屋恵壹!」
川藤に呼ばれて振り返る安仁屋。
「新庄慶!」
新庄が振り返る。
「若菜智哉!」
若菜が、
「桧山清起!」
桧山が、
「岡田優也!」
岡田が、
「湯舟哲郎!」
湯舟が、
「関川秀太!」
平川が、川藤を見つめる。
「平塚 平!」
「はい!」
つい返事をしてしまって慌てる平塚。
「今岡 忍!」
戸惑う今岡。
「それに、御子柴徹。
 お前たちの試合はまだ終わってないぞ。
 4対1、9回の裏2アウト満塁!
 今が逆転のチャンスだ!」
川藤の言葉に、それぞれ、あの日のことを思い浮かべる。
「この試合に勝てば、必ず明日が見えてくる!
 あと一つ勝てば、夢に一歩近づく!」
「・・・」
「お前たちなら勝てるって、俺は信じてる!」
「・・・」
野球部員たちが教室を出ていく。

廊下には、校長が、クラスの様子を伺っていた。

休み時間、黒板を見つめる御子柴。
「暴力教師に、暴力集団。
 うちらのクラスってちょっとヤバくない?」
「でも安仁屋君たちってちょっとカッコイイよね!」
「ユキノ趣味悪いって。ね、塔子?」
「・・・」

怒りながら黒板を消す真弓。
「ねえ、川藤先生のことだけど、」塔子が声をかける。
「・・・前の学校にね、気に入らないことがあると、
 すぐ暴力に訴える生徒がいたの。
 で、その子が退学になりかけた時、川藤先生一人がその退学に
 反対して・・
 必死に、更生させようとしていたんだけど・・。」

教室でスパナを振り回して暴れるその生徒を、川藤は一人で
必死に止めようとしていた。
「物には正しい使い道っていうのがあるだろ!」
「離せ!」
「張本!お前も同じだ!
 正しい道が必ずある!
 俺はお前を信じてる!」
「うるせーんだよ!
 偉そうなこと言ってんじゃねーよ!」
スパナを振りかざして飛び掛ってくる張本を、
川藤は殴りつけ、その弾みで、生徒は窓から落下。
「張本ーー!!」

「それで、全治一ヶ月の怪我を負わせちゃったの。」
「・・・」
「それで、クビに?」
「川藤先生、その子の退学を取り消す代わりにね、
 学校側の責任全部一人でかぶって辞めたの。」
「川藤先生が・・」と御子柴。
「そういうひとなのよ、川藤先生って・・。」

部室
「きれい事ぬかしやがって・・・な。」と新庄が呟く。
誰も返事出来ないでいた。
「俺たちは俺たちなりにやってきただろう?
 ここで、俺たち仲間だけの、最高の場所を作ってきただろ!?」
「・・・」
「若菜!お前まさかあんなヤツの言うことを信じてるのかよ!」
新庄が若菜に掴みかかる。
「そんなこと言ってねーだろ!
 つーか、お前こそ何苛立ってんだよ!」
新庄の手を振り解く若菜。

部室の前で、部屋の鍵を見つめる御子柴。

関川が部室を出ようとする。
「おい!関川どこに行くんだよ。」と新庄。
「家の手伝いがあるんだよ。」
「あーあ。俺も帰ろ!」
若菜が、桧山が、湯舟が、岡田が部室を出ていき、
新庄一人が取り残された。
苛立たしさを物に当たる新庄。

その時、安仁屋は土手に座り、少年野球の練習を見つめていた。
「ずっと野球やってたのか?」川藤が声をかける。
「・・・」
「お前いい肩してるよな。」
「・・うるせーよ。」
立ち上がり、歩き出す安仁屋。
「俺はガキの頃からずっと空手をやってたんだけど、
 一度、あんな風に仲間と一緒に、思う存分戦ってみたかったな。」
安仁屋が立ち止まる。
「野球ってチームワークが大切なんだろ?」
「知らねーよ。」
「お前たちのあの結束力があれば、最強のチームが
 出来るんじゃないのか?」
「・・・無駄だって言ったろ。」
「心を閉ざしているうちはな。」
「・・・」
川藤が安仁屋に微笑む。
その時、少年野球チームのボールが転がってきた。
「すいませーーん!」少年がボールを拾いに来る。
「おぅ!」
川藤はボールを拾うと、それを安仁屋に放る。
反射的に受け取る安仁屋。
「投げ返してやってくれないか?」
安仁屋はボールを見つめると・・放り出し、
そして立ち去った。
そんな安仁屋を笑顔で見送る川藤。
「すみません・・」と少年。
「うぉ、すまんすまん!いくぞ。」川藤がボールを投げる。
「あーー!ごめんな!おい!!」


川藤は自分の下駄箱に野球部部室の鍵を見つける。

その様子を御子柴が心配そうに見つめ・・。

部室の前に張り紙が貼られていた。
『部室の鍵は
 俺が預かった
 by川藤幸一』
悔しそうに張り紙にパンチする新庄。

そこへ、校内アナウンスが流れる。
「みなさん!おはようございます!
 野球部顧問の川藤幸一です。
 野球部のみなさんにお知らせします。」

放送室では、掛布が必死に川藤を止めようとするが、
川藤は先輩を追いやり、アナウンスを続ける。

「えー、失礼しました。
 活動停止状態だった野球部ですが、
 本日より、夢に燃える野球部として、活動を再開したいと思います!
 というか、します!
 放課後、部室の前に集合して下さい。
 まずは荒れたグランドの草むしりからしましょう。」

「ふん。ふざけたことを!」
平塚と今岡が笑う。

「ふざけているわけではありません!」

「聞こえてんのかよ!!」
辺りを見渡す平塚と今岡。

「なお、部室の鍵は、今日から私が管理させてもらいますので、
 御用の際は一声かけて下さい。」

川藤のアナウンスを嬉しそうに聞く塔子。

「以上、川藤幸一からのお知らせでした。」

職員室
「いやぁー、緊張したー!
 ありがとうございました、先輩。」
「無茶しやがって・・。」
「あんなことしたら、むしろ逆効果よ。」と真弓。
「そうですか?」
「君らしく殴って言うこと聞かせた方が早いんじゃないのか?」
「島野先生、その話は。」と真弓。
「それとも、戦いを避けて通れるとでも?」
「わかっていますよ。戦いになることぐらい。
 今のは、部員たちと自分への、宣誓ですから!」
川藤が笑顔でそう言う。
部室の鍵を見つめて微笑む川藤。

部室のドアを開けようとイスでドアを叩く新庄。
「おい新庄、無茶するなって。
 おい関川、御子柴呼んでこい。」と桧山。
「けど鍵は川藤が持ってんだろ?」と関川。
「あいつ今頃甲子園行くーとか息巻いてんじゃねーの?」と岡田。
「でもよ、もしそれで俺達が甲子園に行けたら、すごくね?」
関川の言葉に新庄がキレる。
「いや・・別に行きたいわけじゃねーよ。」と関川。
新庄が関川に掴みかかる。
「テメー無駄な夢見てんじゃねーぞ!
 俺たちの快適な生活が奪われようとしてるのによ!」
「わかってっから離せって。」
「わかってんなら、お前がやること一つしかねーだろ。」
「・・・」

職員室に忍び込み、部室の鍵を盗み出そうとする関川。
鍵を見つけたところで、川藤が戻ってきてしまった。
関川は慌てて身を隠す。
「君、本気で野球部を再開するつもりなのか?」教頭が聞く。
「それは、もちろん!」
「・・・あのね、君に忠告しておかなければならないんだが。」
「忠告?」
「君を、我が校に招いた本当の理由だよ。
 君は、前の学校で生徒に暴力を振るい、
 その責任を一人で取って辞めたんだろ?
 校長は、それと同じことを又君にさせるつもりなんだよ。」
「・・・え?」
「君を野球部に差し向ければ、いつか必ず暴力事件を起こす。
 そうなった時、全ての責任を君に負わせて、
 野球部を一人残らず、自首退学に追い込むつもりなんだよ!」
「・・・そのために・・それで、採用されたんですか?」
「・・・。」

机の下にもぐりこみ、その話を聞いていた関川。

そして廊下で話を聞いてしまった真弓がやって来た。
「酷いじゃありませんか、教頭先生!」
「え!?」
「彼は、もう1度やり直そうと思って、
 チャンスだと思って必死に頑張っているんですよ!」
「真弓先生・・」
「あなたもあなたよ!
 確かに間違ってはいないけど、
 でももし又辞めるようなことになったら、
 もう二度と教師にはなれないわよ!?
 それでもいいの!?」
「・・・」
「川藤君。野球部の顧問、辞めた方がいい!」と教頭。
「・・・辞めませんよ!」笑顔で答える川藤。
「は?」
「本当に野球やりたがっているやつらもいるんです。
 他のヤツラだって、素直になれないだけなんです。」
「けどね、君・・」
「あいつらだって夢を求めているはずなんです。
 だから俺は、あいつらを信じます。
 俺を信じてぶつかってきてほしいから、
 俺は信じます!
 もし校長先生が、学校があいつらの敵に回るなら、
 俺が見方になってやります!
 風除けでも、盾にでも、何にでもなってやりますよ!」
「川藤先生・・」
「夢を捨てたあいつらをほっとくなんて、俺には出来ません。
 二度と暴力事件なんか起こさせません。
 俺は野球部を守ってみせます!
 あいつら全員、守って見せます。」

その言葉を聞いていた関川は、机の下で声を潜めて泣いていた。

野球部の部室に足を踏み入れる川藤。
ゆっくりと部室の中を見渡すと、
「これを守りたかったのか、あいつら・・。
 まるでサンショウウオだな。」と呟く。

そこへ、関川がやって来た。
「お!関川!」
やっぱり帰ろうとする関川。
「おい!ちょっと待て!
 いい所に来た。ちょっと手伝え。」
「はぁ!?何で俺が・・。」

新庄は部室から荷物を運び出す川藤と関川を見てしまう。

関川がゴミ捨て場にいるところを、新庄の低い声が聞こえてくる。
「何してるんだ、お前。」
「・・・」
「鍵はどうした。」
「・・・いや・・わかんね。」
新庄はゆっくり関川に近づいていく。
「何捨ててんだよ。」
「・・・」
「鍵はどうしたんだよ。」
「疑ってんのかよ。何があっても信じるのが仲間じゃねーのかよ。」
「・・・」
あの部室で仲間達と楽しく過ごしてきた場面が新庄の頭に浮かんでくる。
そして、『握れば拳。開けば掌。信じてるからな。』と言った川藤の言葉。
「テメーさっき川藤と何やってたんだよ!」
「・・・離せよ。何苛ついてんだよ。
 ・・お前がいつも言ってる仲間ってのはこういうことすることかよ!」
「・・・」
「そんなのたいした仲間じゃねーよ!」
新庄の手を振り解き、立ち去ろうとする関川。
「・・・関川ーっ!!」
すごい剣幕で関川を追う新庄を、若菜、桧山、岡田、湯舟が追いかける。

安仁屋が部室にやって来る。
運び出された荷物には、
『すぐに処分します
 by川藤幸一』
の張り紙。
安仁屋はそれをじっと見つめ・・・。

国語の授業
黒板に何やら絵を描く川藤。
「えー、この主人公の山椒魚は、」
「それ、サンショウウオのつもり!?」と塔子。
「先生死ぬほど絵心ねーよ。」生徒たちが笑う。
「なにをーーっ!
 どっからどう見ても山椒魚だろうが!
 ほら教科書開いて!88ページだ!
 えー、この主人公の山椒魚は、長い間、岩の穴の中に
 閉じこもっていたら、いつの間にか出られなくなってしまったと
 いうんだな。
 それじゃあ読んでみます。

『なんたる失策であることか!
 彼は岩屋の中を 許されるかぎり広く泳ぎまわってみようとした
 人々は思いぞ屈せし場合
 部屋の中をしばしばこんな具合に歩き回るものである
 けれど山椒魚のすみかは 泳ぎまわるべく あまりに広くなかった
 彼は体を 前後左右に動かすことができただけである
 その結果 岩屋の壁は 水あかにまみれて滑らかに感触され
 彼は 彼自信の背中やしっぽや腹に
 ついにこけが生えてしまったと信じた
 彼は深い嘆息をもらしたが
 あたかも一つの決心がついたかのごとく つぶやいた
 「いよいよ出られないというならば
 おれにも相当な考えがあるんだ」
 しかし彼に 何一つとして
 うまい考えがある道理はなかったのである
 岩屋の天井には スギゴケとゼニゴケとが密生して
 ゼニゴケは 緑色のうろこでもって 地所取りの形式で繁殖し
 スギゴケは 最も細く かつ紅色の花柄の先端に
 可憐な花を咲かせた
 可憐な花は 可憐な実を結び
 それは隠花植物の 種子散布の法則通り
 間もなく 花粉を散らし始めた
 山椒魚は スゴゴケやゼニゴケをながめることを好まなかった
 むしろそれらを疎んじさえした
 スギゴケの花粉は しきりに岩屋の中の水面に散ったので
 彼は自分のすみかの水が 汚れてしまうと信じたからである
 あまつさえ 岩や天井のくぼみには
 一群れずつのカビさえも生えた
 カビはなんと愚かな習性を持っていたことであろう
 常に消えたり生えたりして
 絶対に繁殖してゆこうとする意志はないかのようであった
 山椒魚は 岩屋の出入口に顔をくっつけて
 岩屋の外の光景をながめることを好んだのである
 ほの暗い場所から 明るい場所をのぞき見することは
 これは興味深いことではないか
 そして 小さい窓からのぞき見するときほど
 常に多くの物を見ることはできないのである』

この『山椒魚』(井伏鱒二の短編小説)
の朗読の間に、
新庄はトイレにいた関川を殴り続けます。

「先生、意味わかんないんだけど。」
「つまり、岩屋の外には明るい未来があるのに、
 穴から出られない状況に自分を持っていった山椒魚の愚かさ、
 しかもその状況を変えようともせず、
 穴の中で、小さな喜びに浸るしかない。
 そんな山椒魚の、孤独な物語なんだ。」

新庄の後ろに安仁屋が立つ。
「安仁屋・・。
 お前見たかよ、部室。
 このクソガキがよ、」
安仁屋が新庄を殴りつける。
「ダッセーんだよ、バーカ。」
「お前も川藤に流されてんのかよ。
 裏切んのかよ!!」
「裏切るようなもの持ってたか?俺たち。」
「・・・」
今度は新庄が安仁屋に掴みかかり、殴り飛ばす。
そこへ、部員たちが駆けつける。
「おい!やめろ!」
「ここまですることねーだろ!!」
「裏切ったヤツは許さねー!」と新庄。

トイレの外では校長が様子を伺い、微笑んでいた。

教室
休み時間、教科書の『山椒魚』を読む御子柴。
「おい!野球部が2階のトイレで仲間割れしてるぞ!
 新庄が、裏切ったヤツは許さねーって怒鳴ってんだよ!」
男子生徒の声に、御子柴は教室を飛びだしていく。

校長からそのことを聞いた川藤も、2階トイレへと急ぐ。
後を追おうとする真弓に、
「野球部の顧問は川藤先生です。
 中途半端な指導をするぐらいなら、彼に任せておきなさい。」
と校長が止める。

気が治まらない新庄は、まだトイレで暴れていた。
「やめろよ新庄!」御子柴が止めようとする。
「俺が・・・部室の鍵を先生に渡したんだよ。」
「御子柴・・」と安仁屋。
「野球やりたかったんだよ!
 みんなと一緒に、もう1度、野球やりたかったんだよ。
 変わりたかったんだよ!」
「コノヤロウ!」新庄が掴みかかる。
「何が俺たちの居場所だよ!
 何がパラダイスだよ!
 あそこは・・真っ暗な穴倉だよ!!」
新庄が御子柴を連れていく。

大怪我をした関川を運び出す野球部員。
「新庄!」安仁屋の声も新庄には届かない。

「関川!大丈夫か関川!」川藤が抱き起こす。
「全部テメーのせいだよ。
 俺たちはあのままでよかったんだよ。
 勝手に夢を押し付けやがって。
 その結果がこれだよ!!」と安仁屋。
「本気でそう思っているのか?」

そこへ、心配した塔子が駆けつける。
「御子柴君は?」
「御子柴?」

屋上へと駆け上がる川藤。
御子柴は倒れ、血で染まった拳の新庄が、ゆっくりと振り返る。
「新庄・・・」

保健室
「大丈夫か?関川。」と安仁屋。
「新庄は?」
「知るか、あんなヤツ。
 今頃川藤とやりあってんだろ。」と言う若菜の頬にも殴られたあと。
「止めねーと・・。」
無理して起き上がる関川。
「関川・・」安仁屋が関川をさせる。
「校長の思う壺なんだよ。」

職員室
「川藤先生を犠牲にするとおっしゃるんですか!?」と真弓。
「あなたはそれで、」と教頭。
「私には、学園を守る義務があるんだよ。」と校長。

屋上
「新庄!!」拳を握り締める川藤。
「みんなで野球やりたいとか寝言抜かしやがってよ!
 くだらねー夢なんか見るもんじゃねーよな。」
「・・・」
「殴りたいんだろ?
 たなごころだっけ?
 何だそれっ!」
「・・・」
「おいどうした。
 殴ってみろよ暴力教師!!」
「・・・新庄ーーっ!」川藤が怒りに震えながら飛び掛ろうとする。
無抵抗で受けようとする新庄。
その時、
「やめろーーっ!!」
その声に、川藤は振り返る。
関川が安仁屋たちに支えられてやって来たのだ。

「殴ったらおしまいだろ。」と関川。
「・・・」
「お前が辞めたら、誰が御子柴の味方になってやるんだよ!
 誰が盾になってやるんだよ!」
「・・・」
「守るんじゃねーのかよ、野球部を!!」
倒れた御子柴を見つめる川藤。
「御子柴はな、お前のこと信じてんだよ!
 だから新庄にやられんの覚悟で部室の鍵渡したんだろうが!」
「・・・」
『みんなと一緒にもう一回、野球をしたかった。』
そう言いながら流した御子柴の涙を思い出す川藤。
「御子柴・・。
 ごめんな、御子柴!
 すまん!!」
手を突いて御子柴に謝る川藤。
その時、
「川藤!!」
関川の声に振り向こうとする川藤の頭を、
御子柴が思い切り踏みつける。

「今のは・・ヤベーだろ。」と若菜。

「お前のせいだ。」
ツバを履き捨て立ち去る新庄。
川藤が起き上がる。
「俺を見ろ!
 お前ら全員、俺を見ろ!!」
部員たちが川藤を見つめる。
「明日が見えないんだろ?
 お前ら全員、明日に連れてってやるから、
 俺を見ろ!!」
「・・・」
真剣な表情で川藤を見つめる部員たち。
新庄は、川藤に歩み寄ると、
「しつけーんだよ、テメーは!」と叫び殴りつける。
川藤は怯むことなく新庄を見つめ叫ぶように言う。
「4対1!」
「うるせー!」新庄が又殴る。
「9回の裏!」
「黙れ!」新庄が殴る。
「2アウト満塁!」
「黙れ!!」
「一発逆転のチャンスだ!」
「黙れってんだろ!!」
「諦めるな!
 お前らの悔しさ、全部受け止めてやるよ!!」
新庄に殴られても殴られても訴え続ける川藤。
「夢から逃げるなっ!!」
「黙れって言ってんだろ!!」
川藤はよろけながらも踏みとどまろうとし続け、
そして倒れた。
「クソッタレ・・・。
そんな様子を見つめていた部員たちは・・・。

見詰め合う新庄と安仁屋。
「・・・わかってたよ。
 結局こうなるのは。」
新庄が立ち去る。
「新庄・・・。」安仁屋が呟く。
倒れた川藤を見つめる安仁屋。
「もうおせーよ・・・。」

土手で朝を迎えた野球部員たち。
「新庄って・・」と岡田。
「もう言うな。あんなヤツのことは
 ・・・川藤って・・・何でもねーよ。」と桧山。
「けど、あんな教師、初めて見たにゃ~。」と湯舟。
「だけど・・今更甲子園なんて行けないよ。」と今岡。
「このまま卒業待つのが一番楽だしな。」と岡田。
黙って話を聞いていた安仁屋は突然立ち上がると、
「ウォーーーッ!」と叫びながら川へかけて行く。
その後を、6人が続く。
川に入り無邪気に水を掛け合う7人。

保健室
「流石に川藤も、懲りたんじゃないかな。」と関川。
「・・・」
「バカだよな、あいつ。
 この間なんて一人でグランドの草むしりしててさ。」
悲しそうに窓の外を見る御子柴。
「そんなことしたって何も変わらないのに。」と関川。
「関川・・あれ!」
御子柴に言われ、窓の外を見て見ると、
川藤が一人グランドの草むしりをしていた。
御子柴は持っていた退学届を破り捨て・・・。
「御子柴?」
「だって俺、野球部だからさ。」
と言い、歩き出す。
「卒業してーよ。
 もし出来んなら、笑って卒業してーよ、俺だって。」
関川は御子柴にそう言い・・。


河原を自転車で通りがかった塔子は、
ぼーっとグランドを見つめる安仁屋の姿に気づき・・・。

一人草むしりを続ける川藤。

朝、安仁屋たちが登校してみると、グランドで草むしりを手伝う
御子柴と関川の姿があった。
「初練習がこれかよー。」と関川。
「文句言わずにやろうぜ。」と御子柴。
「本当に笑って卒業できんのか?」
御子柴はポケットから野球のボールを取り出し、
それを関川に放る。
「イテっ!」
「痛いに決まってんだろ、硬球なんだから。」
楽しそうに笑う御子柴、そして関川。

グランドに大の字になって寝ていた川藤が目を覚ます。
「うわ!
 ・・・しまった!寝てしまった!!
 ・・・」
二人の姿に気づい川藤、
「あいつら・・・。」

校舎から校長がその様子を睨みつける。

満面の笑みを浮かべる川藤。
その先には、キャッチボールを楽しむ御子柴と関川の姿があった。

「俺たち夢に近づいているよな?」と御子柴。
「二人じゃキャッチボールぐらいしか出来ねーよ。」と関川。
「これだって夢だよ。」
「お前さ、どこまで謙虚なんだよ。
 目指せ!甲子園!とか言えねーのかよ。」
「・・・行けないよ。甲子園なんか。」
「・・・」
「でも、こうやって努力してたら、可能性はゼロじゃない。
 行けるかもしれないって。
 そういうのでいいんだよ。
 俺、そういうのでいいんだよ。」
御子柴は晴れやかな笑顔を浮かべると、そっと涙を拭う。

そんな二人を見つめる川藤、そして、野球部員たち。

安仁屋は、笑顔で二人を見つめる川藤を見つめる。
その視線に気付いた川藤は、7人ににっこりと笑いかけ・・・。


『番組中に高校生の喫煙場面がありますが
 未成年の喫煙は法律でかたく禁止されています。
 ストーリー上のフィクションですので
 絶対に真似しないで下さい。』

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