臨時国会が事実上閉幕した。会期が41日間と短かった影響もあり、重要な政策課題の議論が深まったとは言いがたい。新型コロナウイルス対策と経済活動の両立、米中対立の下での日本の役割など懸案が山積している。与野党は閉会中審査も活用し、国が進むべき方向を明確にしてほしい。
菅首相は臨時国会の閉会に合わせて記者会見に臨んだ(4日夕、首相官邸)
菅義偉首相は4日夕に記者会見し、新型コロナウイルスの感染抑止と景気を下支えする対策に万全を期すと強調した。追加経済対策を来週早々に決定し、環境投資の促進へ2兆円の基金創設、デジタル関連で1兆円を超える経費を盛り込むことにも言及した。
今国会は菅内閣が9月に発足して初めての論戦となった。首相や閣僚は準備した応答要領を読む場面が目立ち、本会議や委員会での発言はやや迫力に欠けた。
野党の追及をかわすため答弁の安定性を重視したのだろう。だがコロナ禍などの難局にどう対処しようとしているのかを国民にもっと訴えていく姿勢が必要だ。
今国会では新型コロナのワクチン接種を促す改正予防接種法、改正種苗法、民法特例法などが成立、日本と英国の経済連携協定(EPA)が承認された。
一方で再流行している新型コロナの対策は首相官邸と関係省庁、自治体の足並みの乱れも目立っている。与野党は感染抑止と経済活動のバランス、生活支援策のあり方などについて、さらに議論を深めていく必要がある。
会期中に東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が合意に達し、中国の習近平国家主席は環太平洋経済連携協定(TPP)への参加の積極検討を表明した。米国にTPPへの参加を促すなど、日本が国際社会で果たすべき役割は大きい。
安倍晋三前首相の後援会による「桜を見る会」前夜祭の費用補填、吉川貴盛元農相が在任中に鶏卵生産大手トップから現金を受領した疑いも浮上した。
野党は「疑惑にフタをするため与党は国会会期を打ち切った」と強く批判しており、与野党は真相解明に協力すべきだ。形だけの閉会中審査でお茶を濁すような対応を続ければ、国民の政治不信を高める結果を招く。
安倍氏の首相時代の国会答弁が結果として事実に反した可能性が出ている。安倍氏は国会審議や記者会見の場で経緯をきちんと説明すべきだ。
日経新聞 社説 2020年12月4日 記事引用