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NHK解説委員室

최전선을 아는 전문가가 철저 해설. AI가 바꾸는 미래(2)

작성자청소부|작성시간26.06.20|조회수2 목록 댓글 0

羽深さん
現実問題として、今井さんがおっしゃったように、AIモデルをゼロから開発するにはものすごくお金がかかります。これは日本だけではなく、むしろほとんどの国が自前ではAIをすべて解決することができないというのが現状です。
ですので、今いかにすべてが国産ではなくて、その他の国と連携しながら各国が戦略的な自立性を確保していくかということが、より重要な問題として、とりわけミドルパワーといわれるような国々の間で議論されるようになってきています。
そのときに、やはり最終的には世界でいちばんいいモデルを自分たちで開発する必要まではなく、むしろ今あるモデルをいかに社会に溶け込ませていくか。これをAIトランスフォーメーションという言葉で言ったりしますが、いかに今あるモデルを社会の中でうまく使っていくか。
そして極めて重要な部分、例えば防衛ですとか、基幹インフラとか、こういったものに関しては、できるだけ国産のものを使っていく。こういった方針を目指すということが、先日公表された自民党のホワイトペーパーでも書かれています。

安全保障と他国との連携 バランスは?

今井さん
特に安全保障と、僕は教育とかも入れていますが、この部分は国特有の事情が非常に入ってくるところなので、人工知能、直接的な出力に関わるやはりデータの部分、文書とか、データに関わる部分は、絶対日本が確保すべきだと思います。
もちろん学習に使うチップであるとか、そういう基盤インフラとかは一部別の国の技術に頼ってもいいと思いますが、根本的な最終出力のもとになっているところのデータというのは、やはり防衛であるとか、教育みたいなところについては、日本のものを使っていく必要があると僕は認識しています。

日本の強みとは?

羽深さん
今の議論にもあったような教育に関する、まさにわれわれの日本文化を体現したようなデータというのも非常に重要なものです。
それに加えて、日本の産業がもともと持っていた強み、例えば製造業、医療、介護、物流といった領域におけるデータというのは、日本にはたくさんあります。
そういったものを使って、それぞれの目的に特化したAI、これをバーティカルAIというような言い方をすることもありますが、そういった領域特化型で日本の強みを活かしたAIを作っていくというのは、これからの日本の戦略の1つになってくると思います。

今井さん
先ほど羽深先生おっしゃったような製造業というのは、やはり日本はとても強いです。
インターネットのデータというのはやはり、「グーグル」、「オープンAI」みたいなビッグテックが全部持っていってしまって、条件がもう同じですので、そこでたたかっても勝ち目はないです。
しかし、日本の多様な製造業のデータというのは、完全にその製造業の中に閉じ込められていて、ビッグテックといえどもアクセスできないものなので、それで学習できる日本の、今「フィジカルAI」と言われているロボットとかの、物理的な動作をするAIはやはり強いと言われています。
そしてエンタメもそうです。アニメーションやイラストが関わる部分、これはちょっと反発があったりもするんですが、ここもやはりデータを持っていて強いです。
また、ノーベル賞も今までとってきましたので、いろんな大学のラボの中にある研究データというのも、これはビッグテックが持ちえないものがありますので、日本の強みとして言える部分かと思います。

各国の規制のかけ方 どう見る?

羽深さん
EU、アメリカ、そして日本、それぞれ実はかなり異なる規制のアプローチを取っています。
まずEUは何が特徴的かというと、今ある規制に上乗せする形で、AIだけに特化した横断的、分野横断的な規制をかけているというのが特徴です。
これをもって日本はAIを規制していないということが言われたりするんですが、それは実は全くの間違いです。日本の中にはすでに医療に関する規制、金融に関する規制、道路に関する規制などがありますし、個人情報、著作権など、すでにいっぱい規制があるんです。ですので、規制が強いか弱いかという話ではなくて、分野ごとに扱うのか、あるいは包括するのかというのが日本とEUの違いです。
アメリカは、いわゆる製品の安全性、AIの安全性みたいなことに関しては、実はかなり規制をしないというスタンスを取っていて、むしろ各州が独自にAIを規制することを禁止するという大統領令まで出しています。
他方で、今回の「ミュトス」の件のように、安全保障に関する部分については、他国に出さないというポリシー、まさに輸出管理のポリシーを取っていたりですとか、あるいは2月のイラン攻撃の際には、むしろ軍事目的とか、あるいはサーベイランス、つまり監視の目的でもAIを使えるようにしなさいということを言ったりとか、かなり政府として安全保障に関しては独占していくんだというようなスタンスが、強く出ているかと思っています。

州の過剰なAI規制防止を盛り込んだ大統領令に署名するトランプ大統領(2025年12月)

規制のかけ方どうあるべき?

今井さん
開発ではなくて、できあがったものをどう規制するか、使用するときにどう規制するかという話になると思います。なぜかというと、例えば今回の「ミュトス」は、サイバーセキュリティー、ぜい弱性を特定する、危険だと言われていますが、これはぜい弱性を特定するために、何か危険なデータで学習したわけではないです。
そうではなくてプログラミングというふつうに能力を上げようとしていったら、同時に危険性も上がってしまったんです。知能というもの、賢いということは、どうしても諸刃の剣にならざるを得ない。賢くしていくと危険性も勝手に上がってしまうので、良い人工知能を作ろうとすると、必ず悪いところが絶対に出てきます。
ですので、開発段階で規制をするということは、それこそ薬を作り出す可能性がある人工知能を、これはウイルスに使えそうだから規制しようという話になってしまうので、やはりこれはできあがったものをどう使用するために規制するかという話にするのがいちばんちょうどいいかと思います。

羽深さん
古典的には、誰かが包丁で刺されたときに、包丁のメーカーは責任を負うのかというと、基本的には負わないですよね。ですので基本的には使用する場面で規制するというアプローチが正しいと思います。
ただ、そうは言ってもあまりに強力なツールなので、一部規制したほうがいいんじゃないかということが今、世界で話題になっているわけです。例えばディープフェイクによる性的な画像が作成できるようになる機能というのは、これはきちんと開発側で抑えてくださいとか。
あるいは何をしちゃいけないとは言わないけれども、きちんと開発にあたっての情報を開示してくださいといったようなタイプの規制は、実は今、結構世界各国で出てきているところです。

AI規制 法律は追いつくのか?

羽深さん
追いつきませんというのが、率直な回答になるかと思います。今の日本の民主主義システム上は、法律を1本つくろうと思うと、少なくとも2年、3年という歳月がかかります。
しかしこのAIの世界で2年、3年というと、これは本当にドッグイヤー、マウスイヤー、もっと早くAIの開発は進んでいきますので、はるか昔のことをターゲットにしているということになってしまう。
じゃあ法律はいらないかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、法律の中で、あなたはこれをやりなさいとか、これをやってはいけませんということを細かく書いていくということが無理になっていくということかと思います。
ですので、今後は法律の中身に書いてあることは非常にハイレベル、原則や達成すべき価値について書いていく。
そしてそれをどうやって実現するのかということに関しては、各企業や個人が自主的に取り組みを行っていって、なおかつ説明責任を果たしていくといったようなタイプの規制のアプローチを取らざるを得ないかと思います。

AIで雇用、教育はどうなる?

羽深さん
私も今、幼稚園児の子どもがおりますので、まさにそこをどうしようというのを日々悩んでいるところです。
ただ1つ思うのは、確かにAIは素晴らしい知能なんですが、実は人間の脳はものすごい素晴らしいシステムなんです。
例えば消費する電力は、人間の脳の場合、たった1つのLED電球を光らせるぐらいの電力で、これだけの知的な活動ができるといった、非常に効率的なモデル、これは実際に最先端のAIと比べると、数百万倍ぐらいのエネルギー効率ではあるんです。
さらにこのメカニズムというのは、過去40億年程度にわたる大変厳しい自然の淘汰を生き抜いてきたアルゴリズムですので、必ずしもロジックとか、損得勘定では説明できないような共感する力とか、正義感とか、道徳とか、そういったものが備わっているアルゴリズムなわけです。
ですので、確かにAIもすごいんですが、人間に本来備わっている力を信じて、そして他者をケアする、共感する、そして一緒に何かを作り上げていく、こういったものをやる力を磨いていく。
そして最終的に意思決定を行うといったところまできちんと力を磨いていけば、まだまだ人間はAIに負けないんじゃないかなと思っております。

今井さん
少なくとも研究上は、やはり人間の雇用が減っているというデータは確認できていて、今まで重要だと思っていた仕事、例えば情報処理とかはどうしても比重が減っていくと思います。
ただ、意外と人間の仕事というのは、そんな高度な知能で回っているかというと、そうでもないところがいっぱいあると思います。頭のよさというよりは、そのときその場にこの人がいて、その場で現場判断するみたいなことが結構あるんですね。
人工知能といえども何も知らないことを突然判断することができないので、やっぱりそういう即時的な、いろんな背景を踏まえた、人間社会の事情を踏まえた細かい判断とかというのは、人間の仕事になってくると思います。われわれ人間として生きてきた強みがあります。
人工知能は別にデータから学習しているわけですので、人間の体を持って人間の社会で経験を積んできたわけではないとすると、われわれのほうが知っていることがいっぱいあるはずです。ですので、そういうところに関わる判断というのは、これからも重要になってくると思います。
子どもの教育という点について言うと、今、僕が言ったこともそうですけれども、一方でAIネイティブな考え方を身につけようとも言っています。
例えば、かつて「アマゾン」の創業者のジェフ・ベゾスは、インターネットが出てきた時に、彼は書籍販売の専門家でも、小売の専門家でもなかったんですが、インターネットというものを前提に、何かそういう販売を考えたらどうなるのかというのをやっていったら「アマゾン」という帝国ができたわけです。
それと同じように、人工知能というすごい技術が出てきているので、今まで考えなかったような、人工知能を前提にした考え方をすると、すごいものが生まれるかもしれない。
これはやっぱり今から教育を受ける子どもにとってチャンスだと思うので、ぜひそういうところを重視していってほしいというふうに思います。

AIにどう向き合うべき?

羽深さん
私の専門の法律やガバナンスという観点から言いますと、これまでのように誰かがルールを決めてくれる時代ではなくて、自分たちできちんとルールを作っていく。
その前提として、自分たちできちんとAIのリスクを評価して、責任を持って実装していくということが重要です。
また、これをやるのはなかなか個人とか、1つの会社では難しいですので、官民連携、社会全体で連携しながら、社会をどこに向かわせたいのかということの議論を重ねながら、具体的な対処方法というのを常に生み出していくというようなアプローチが重要になってくるかと思います。

今井さん
今までわれわれは地球上の賢さという点で王者だったわけです。
ホモ・サピエンス、人間というのは賢いという点で言うと、まさに頂点にいたわけですが、それが人工知能という、われわれとほぼ同等ぐらいのものが出てきたことで、やはり知能にも種類があって、人工知能はこういうのは得意だ、人間というのは実はこういうところが得意だったんだというところを見直す。
別の知能が出てきたことをきっかけに、人間の強みを見直すというのは、非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。

羽深さん
現実問題として、今井さんがおっしゃったように、AIモデルをゼロから開発するにはものすごくお金がかかります。これは日本だけではなく、むしろほとんどの国が自前ではAIをすべて解決することができないというのが現状です。
ですので、今いかにすべてが国産ではなくて、その他の国と連携しながら各国が戦略的な自立性を確保していくかということが、より重要な問題として、とりわけミドルパワーといわれるような国々の間で議論されるようになってきています。
そのときに、やはり最終的には世界でいちばんいいモデルを自分たちで開発する必要まではなく、むしろ今あるモデルをいかに社会に溶け込ませていくか。これをAIトランスフォーメーションという言葉で言ったりしますが、いかに今あるモデルを社会の中でうまく使っていくか。
そして極めて重要な部分、例えば防衛ですとか、基幹インフラとか、こういったものに関しては、できるだけ国産のものを使っていく。こういった方針を目指すということが、先日公表された自民党のホワイトペーパーでも書かれています。

安全保障と他国との連携 バランスは?

今井さん
特に安全保障と、僕は教育とかも入れていますが、この部分は国特有の事情が非常に入ってくるところなので、人工知能、直接的な出力に関わるやはりデータの部分、文書とか、データに関わる部分は、絶対日本が確保すべきだと思います。
もちろん学習に使うチップであるとか、そういう基盤インフラとかは一部別の国の技術に頼ってもいいと思いますが、根本的な最終出力のもとになっているところのデータというのは、やはり防衛であるとか、教育みたいなところについては、日本のものを使っていく必要があると僕は認識しています。

日本の強みとは?

羽深さん
今の議論にもあったような教育に関する、まさにわれわれの日本文化を体現したようなデータというのも非常に重要なものです。
それに加えて、日本の産業がもともと持っていた強み、例えば製造業、医療、介護、物流といった領域におけるデータというのは、日本にはたくさんあります。
そういったものを使って、それぞれの目的に特化したAI、これをバーティカルAIというような言い方をすることもありますが、そういった領域特化型で日本の強みを活かしたAIを作っていくというのは、これからの日本の戦略の1つになってくると思います。

今井さん
先ほど羽深先生おっしゃったような製造業というのは、やはり日本はとても強いです。
インターネットのデータというのはやはり、「グーグル」、「オープンAI」みたいなビッグテックが全部持っていってしまって、条件がもう同じですので、そこでたたかっても勝ち目はないです。
しかし、日本の多様な製造業のデータというのは、完全にその製造業の中に閉じ込められていて、ビッグテックといえどもアクセスできないものなので、それで学習できる日本の、今「フィジカルAI」と言われているロボットとかの、物理的な動作をするAIはやはり強いと言われています。
そしてエンタメもそうです。アニメーションやイラストが関わる部分、これはちょっと反発があったりもするんですが、ここもやはりデータを持っていて強いです。
また、ノーベル賞も今までとってきましたので、いろんな大学のラボの中にある研究データというのも、これはビッグテックが持ちえないものがありますので、日本の強みとして言える部分かと思います。

各国の規制のかけ方 どう見る?

羽深さん
EU、アメリカ、そして日本、それぞれ実はかなり異なる規制のアプローチを取っています。
まずEUは何が特徴的かというと、今ある規制に上乗せする形で、AIだけに特化した横断的、分野横断的な規制をかけているというのが特徴です。
これをもって日本はAIを規制していないということが言われたりするんですが、それは実は全くの間違いです。日本の中にはすでに医療に関する規制、金融に関する規制、道路に関する規制などがありますし、個人情報、著作権など、すでにいっぱい規制があるんです。ですので、規制が強いか弱いかという話ではなくて、分野ごとに扱うのか、あるいは包括するのかというのが日本とEUの違いです。
アメリカは、いわゆる製品の安全性、AIの安全性みたいなことに関しては、実はかなり規制をしないというスタンスを取っていて、むしろ各州が独自にAIを規制することを禁止するという大統領令まで出しています。
他方で、今回の「ミュトス」の件のように、安全保障に関する部分については、他国に出さないというポリシー、まさに輸出管理のポリシーを取っていたりですとか、あるいは2月のイラン攻撃の際には、むしろ軍事目的とか、あるいはサーベイランス、つまり監視の目的でもAIを使えるようにしなさいということを言ったりとか、かなり政府として安全保障に関しては独占していくんだというようなスタンスが、強く出ているかと思っています。

州の過剰なAI規制防止を盛り込んだ大統領令に署名するトランプ大統領(2025年12月)

規制のかけ方どうあるべき?

今井さん
開発ではなくて、できあがったものをどう規制するか、使用するときにどう規制するかという話になると思います。なぜかというと、例えば今回の「ミュトス」は、サイバーセキュリティー、ぜい弱性を特定する、危険だと言われていますが、これはぜい弱性を特定するために、何か危険なデータで学習したわけではないです。
そうではなくてプログラミングというふつうに能力を上げようとしていったら、同時に危険性も上がってしまったんです。知能というもの、賢いということは、どうしても諸刃の剣にならざるを得ない。賢くしていくと危険性も勝手に上がってしまうので、良い人工知能を作ろうとすると、必ず悪いところが絶対に出てきます。
ですので、開発段階で規制をするということは、それこそ薬を作り出す可能性がある人工知能を、これはウイルスに使えそうだから規制しようという話になってしまうので、やはりこれはできあがったものをどう使用するために規制するかという話にするのがいちばんちょうどいいかと思います。

羽深さん
古典的には、誰かが包丁で刺されたときに、包丁のメーカーは責任を負うのかというと、基本的には負わないですよね。ですので基本的には使用する場面で規制するというアプローチが正しいと思います。
ただ、そうは言ってもあまりに強力なツールなので、一部規制したほうがいいんじゃないかということが今、世界で話題になっているわけです。例えばディープフェイクによる性的な画像が作成できるようになる機能というのは、これはきちんと開発側で抑えてくださいとか。
あるいは何をしちゃいけないとは言わないけれども、きちんと開発にあたっての情報を開示してくださいといったようなタイプの規制は、実は今、結構世界各国で出てきているところです。

AI規制 法律は追いつくのか?

羽深さん
追いつきませんというのが、率直な回答になるかと思います。今の日本の民主主義システム上は、法律を1本つくろうと思うと、少なくとも2年、3年という歳月がかかります。
しかしこのAIの世界で2年、3年というと、これは本当にドッグイヤー、マウスイヤー、もっと早くAIの開発は進んでいきますので、はるか昔のことをターゲットにしているということになってしまう。
じゃあ法律はいらないかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、法律の中で、あなたはこれをやりなさいとか、これをやってはいけませんということを細かく書いていくということが無理になっていくということかと思います。
ですので、今後は法律の中身に書いてあることは非常にハイレベル、原則や達成すべき価値について書いていく。
そしてそれをどうやって実現するのかということに関しては、各企業や個人が自主的に取り組みを行っていって、なおかつ説明責任を果たしていくといったようなタイプの規制のアプローチを取らざるを得ないかと思います。

AIで雇用、教育はどうなる?

羽深さん
私も今、幼稚園児の子どもがおりますので、まさにそこをどうしようというのを日々悩んでいるところです。
ただ1つ思うのは、確かにAIは素晴らしい知能なんですが、実は人間の脳はものすごい素晴らしいシステムなんです。
例えば消費する電力は、人間の脳の場合、たった1つのLED電球を光らせるぐらいの電力で、これだけの知的な活動ができるといった、非常に効率的なモデル、これは実際に最先端のAIと比べると、数百万倍ぐらいのエネルギー効率ではあるんです。
さらにこのメカニズムというのは、過去40億年程度にわたる大変厳しい自然の淘汰を生き抜いてきたアルゴリズムですので、必ずしもロジックとか、損得勘定では説明できないような共感する力とか、正義感とか、道徳とか、そういったものが備わっているアルゴリズムなわけです。
ですので、確かにAIもすごいんですが、人間に本来備わっている力を信じて、そして他者をケアする、共感する、そして一緒に何かを作り上げていく、こういったものをやる力を磨いていく。
そして最終的に意思決定を行うといったところまできちんと力を磨いていけば、まだまだ人間はAIに負けないんじゃないかなと思っております。

今井さん
少なくとも研究上は、やはり人間の雇用が減っているというデータは確認できていて、今まで重要だと思っていた仕事、例えば情報処理とかはどうしても比重が減っていくと思います。
ただ、意外と人間の仕事というのは、そんな高度な知能で回っているかというと、そうでもないところがいっぱいあると思います。頭のよさというよりは、そのときその場にこの人がいて、その場で現場判断するみたいなことが結構あるんですね。
人工知能といえども何も知らないことを突然判断することができないので、やっぱりそういう即時的な、いろんな背景を踏まえた、人間社会の事情を踏まえた細かい判断とかというのは、人間の仕事になってくると思います。われわれ人間として生きてきた強みがあります。
人工知能は別にデータから学習しているわけですので、人間の体を持って人間の社会で経験を積んできたわけではないとすると、われわれのほうが知っていることがいっぱいあるはずです。ですので、そういうところに関わる判断というのは、これからも重要になってくると思います。
子どもの教育という点について言うと、今、僕が言ったこともそうですけれども、一方でAIネイティブな考え方を身につけようとも言っています。
例えば、かつて「アマゾン」の創業者のジェフ・ベゾスは、インターネットが出てきた時に、彼は書籍販売の専門家でも、小売の専門家でもなかったんですが、インターネットというものを前提に、何かそういう販売を考えたらどうなるのかというのをやっていったら「アマゾン」という帝国ができたわけです。
それと同じように、人工知能というすごい技術が出てきているので、今まで考えなかったような、人工知能を前提にした考え方をすると、すごいものが生まれるかもしれない。
これはやっぱり今から教育を受ける子どもにとってチャンスだと思うので、ぜひそういうところを重視していってほしいというふうに思います。

AIにどう向き合うべき?

羽深さん
私の専門の法律やガバナンスという観点から言いますと、これまでのように誰かがルールを決めてくれる時代ではなくて、自分たちできちんとルールを作っていく。
その前提として、自分たちできちんとAIのリスクを評価して、責任を持って実装していくということが重要です。
また、これをやるのはなかなか個人とか、1つの会社では難しいですので、官民連携、社会全体で連携しながら、社会をどこに向かわせたいのかということの議論を重ねながら、具体的な対処方法というのを常に生み出していくというようなアプローチが重要になってくるかと思います。

今井さん
今までわれわれは地球上の賢さという点で王者だったわけです。
ホモ・サピエンス、人間というのは賢いという点で言うと、まさに頂点にいたわけですが、それが人工知能という、われわれとほぼ同等ぐらいのものが出てきたことで、やはり知能にも種類があって、人工知能はこういうのは得意だ、人間というのは実はこういうところが得意だったんだというところを見直す。
別の知能が出てきたことをきっかけに、人間の強みを見直すというのは、非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。

羽深さん
現実問題として、今井さんがおっしゃったように、AIモデルをゼロから開発するにはものすごくお金がかかります。これは日本だけではなく、むしろほとんどの国が自前ではAIをすべて解決することができないというのが現状です。
ですので、今いかにすべてが国産ではなくて、その他の国と連携しながら各国が戦略的な自立性を確保していくかということが、より重要な問題として、とりわけミドルパワーといわれるような国々の間で議論されるようになってきています。
そのときに、やはり最終的には世界でいちばんいいモデルを自分たちで開発する必要まではなく、むしろ今あるモデルをいかに社会に溶け込ませていくか。これをAIトランスフォーメーションという言葉で言ったりしますが、いかに今あるモデルを社会の中でうまく使っていくか。
そして極めて重要な部分、例えば防衛ですとか、基幹インフラとか、こういったものに関しては、できるだけ国産のものを使っていく。こういった方針を目指すということが、先日公表された自民党のホワイトペーパーでも書かれています。

安全保障と他国との連携 バランスは?

今井さん
特に安全保障と、僕は教育とかも入れていますが、この部分は国特有の事情が非常に入ってくるところなので、人工知能、直接的な出力に関わるやはりデータの部分、文書とか、データに関わる部分は、絶対日本が確保すべきだと思います。
もちろん学習に使うチップであるとか、そういう基盤インフラとかは一部別の国の技術に頼ってもいいと思いますが、根本的な最終出力のもとになっているところのデータというのは、やはり防衛であるとか、教育みたいなところについては、日本のものを使っていく必要があると僕は認識しています。

日本の強みとは?

羽深さん
今の議論にもあったような教育に関する、まさにわれわれの日本文化を体現したようなデータというのも非常に重要なものです。
それに加えて、日本の産業がもともと持っていた強み、例えば製造業、医療、介護、物流といった領域におけるデータというのは、日本にはたくさんあります。
そういったものを使って、それぞれの目的に特化したAI、これをバーティカルAIというような言い方をすることもありますが、そういった領域特化型で日本の強みを活かしたAIを作っていくというのは、これからの日本の戦略の1つになってくると思います。

今井さん
先ほど羽深先生おっしゃったような製造業というのは、やはり日本はとても強いです。
インターネットのデータというのはやはり、「グーグル」、「オープンAI」みたいなビッグテックが全部持っていってしまって、条件がもう同じですので、そこでたたかっても勝ち目はないです。
しかし、日本の多様な製造業のデータというのは、完全にその製造業の中に閉じ込められていて、ビッグテックといえどもアクセスできないものなので、それで学習できる日本の、今「フィジカルAI」と言われているロボットとかの、物理的な動作をするAIはやはり強いと言われています。
そしてエンタメもそうです。アニメーションやイラストが関わる部分、これはちょっと反発があったりもするんですが、ここもやはりデータを持っていて強いです。
また、ノーベル賞も今までとってきましたので、いろんな大学のラボの中にある研究データというのも、これはビッグテックが持ちえないものがありますので、日本の強みとして言える部分かと思います。

各国の規制のかけ方 どう見る?

羽深さん
EU、アメリカ、そして日本、それぞれ実はかなり異なる規制のアプローチを取っています。
まずEUは何が特徴的かというと、今ある規制に上乗せする形で、AIだけに特化した横断的、分野横断的な規制をかけているというのが特徴です。
これをもって日本はAIを規制していないということが言われたりするんですが、それは実は全くの間違いです。日本の中にはすでに医療に関する規制、金融に関する規制、道路に関する規制などがありますし、個人情報、著作権など、すでにいっぱい規制があるんです。ですので、規制が強いか弱いかという話ではなくて、分野ごとに扱うのか、あるいは包括するのかというのが日本とEUの違いです。
アメリカは、いわゆる製品の安全性、AIの安全性みたいなことに関しては、実はかなり規制をしないというスタンスを取っていて、むしろ各州が独自にAIを規制することを禁止するという大統領令まで出しています。
他方で、今回の「ミュトス」の件のように、安全保障に関する部分については、他国に出さないというポリシー、まさに輸出管理のポリシーを取っていたりですとか、あるいは2月のイラン攻撃の際には、むしろ軍事目的とか、あるいはサーベイランス、つまり監視の目的でもAIを使えるようにしなさいということを言ったりとか、かなり政府として安全保障に関しては独占していくんだというようなスタンスが、強く出ているかと思っています。

州の過剰なAI規制防止を盛り込んだ大統領令に署名するトランプ大統領(2025年12月)

規制のかけ方どうあるべき?

今井さん
開発ではなくて、できあがったものをどう規制するか、使用するときにどう規制するかという話になると思います。なぜかというと、例えば今回の「ミュトス」は、サイバーセキュリティー、ぜい弱性を特定する、危険だと言われていますが、これはぜい弱性を特定するために、何か危険なデータで学習したわけではないです。
そうではなくてプログラミングというふつうに能力を上げようとしていったら、同時に危険性も上がってしまったんです。知能というもの、賢いということは、どうしても諸刃の剣にならざるを得ない。賢くしていくと危険性も勝手に上がってしまうので、良い人工知能を作ろうとすると、必ず悪いところが絶対に出てきます。
ですので、開発段階で規制をするということは、それこそ薬を作り出す可能性がある人工知能を、これはウイルスに使えそうだから規制しようという話になってしまうので、やはりこれはできあがったものをどう使用するために規制するかという話にするのがいちばんちょうどいいかと思います。

羽深さん
古典的には、誰かが包丁で刺されたときに、包丁のメーカーは責任を負うのかというと、基本的には負わないですよね。ですので基本的には使用する場面で規制するというアプローチが正しいと思います。
ただ、そうは言ってもあまりに強力なツールなので、一部規制したほうがいいんじゃないかということが今、世界で話題になっているわけです。例えばディープフェイクによる性的な画像が作成できるようになる機能というのは、これはきちんと開発側で抑えてくださいとか。
あるいは何をしちゃいけないとは言わないけれども、きちんと開発にあたっての情報を開示してくださいといったようなタイプの規制は、実は今、結構世界各国で出てきているところです。

AI規制 法律は追いつくのか?

羽深さん
追いつきませんというのが、率直な回答になるかと思います。今の日本の民主主義システム上は、法律を1本つくろうと思うと、少なくとも2年、3年という歳月がかかります。
しかしこのAIの世界で2年、3年というと、これは本当にドッグイヤー、マウスイヤー、もっと早くAIの開発は進んでいきますので、はるか昔のことをターゲットにしているということになってしまう。
じゃあ法律はいらないかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、法律の中で、あなたはこれをやりなさいとか、これをやってはいけませんということを細かく書いていくということが無理になっていくということかと思います。
ですので、今後は法律の中身に書いてあることは非常にハイレベル、原則や達成すべき価値について書いていく。
そしてそれをどうやって実現するのかということに関しては、各企業や個人が自主的に取り組みを行っていって、なおかつ説明責任を果たしていくといったようなタイプの規制のアプローチを取らざるを得ないかと思います。

AIで雇用、教育はどうなる?

羽深さん
私も今、幼稚園児の子どもがおりますので、まさにそこをどうしようというのを日々悩んでいるところです。
ただ1つ思うのは、確かにAIは素晴らしい知能なんですが、実は人間の脳はものすごい素晴らしいシステムなんです。
例えば消費する電力は、人間の脳の場合、たった1つのLED電球を光らせるぐらいの電力で、これだけの知的な活動ができるといった、非常に効率的なモデル、これは実際に最先端のAIと比べると、数百万倍ぐらいのエネルギー効率ではあるんです。
さらにこのメカニズムというのは、過去40億年程度にわたる大変厳しい自然の淘汰を生き抜いてきたアルゴリズムですので、必ずしもロジックとか、損得勘定では説明できないような共感する力とか、正義感とか、道徳とか、そういったものが備わっているアルゴリズムなわけです。
ですので、確かにAIもすごいんですが、人間に本来備わっている力を信じて、そして他者をケアする、共感する、そして一緒に何かを作り上げていく、こういったものをやる力を磨いていく。
そして最終的に意思決定を行うといったところまできちんと力を磨いていけば、まだまだ人間はAIに負けないんじゃないかなと思っております。

今井さん
少なくとも研究上は、やはり人間の雇用が減っているというデータは確認できていて、今まで重要だと思っていた仕事、例えば情報処理とかはどうしても比重が減っていくと思います。
ただ、意外と人間の仕事というのは、そんな高度な知能で回っているかというと、そうでもないところがいっぱいあると思います。頭のよさというよりは、そのときその場にこの人がいて、その場で現場判断するみたいなことが結構あるんですね。
人工知能といえども何も知らないことを突然判断することができないので、やっぱりそういう即時的な、いろんな背景を踏まえた、人間社会の事情を踏まえた細かい判断とかというのは、人間の仕事になってくると思います。われわれ人間として生きてきた強みがあります。
人工知能は別にデータから学習しているわけですので、人間の体を持って人間の社会で経験を積んできたわけではないとすると、われわれのほうが知っていることがいっぱいあるはずです。ですので、そういうところに関わる判断というのは、これからも重要になってくると思います。
子どもの教育という点について言うと、今、僕が言ったこともそうですけれども、一方でAIネイティブな考え方を身につけようとも言っています。
例えば、かつて「アマゾン」の創業者のジェフ・ベゾスは、インターネットが出てきた時に、彼は書籍販売の専門家でも、小売の専門家でもなかったんですが、インターネットというものを前提に、何かそういう販売を考えたらどうなるのかというのをやっていったら「アマゾン」という帝国ができたわけです。
それと同じように、人工知能というすごい技術が出てきているので、今まで考えなかったような、人工知能を前提にした考え方をすると、すごいものが生まれるかもしれない。
これはやっぱり今から教育を受ける子どもにとってチャンスだと思うので、ぜひそういうところを重視していってほしいというふうに思います。

AIにどう向き合うべき?

羽深さん
私の専門の法律やガバナンスという観点から言いますと、これまでのように誰かがルールを決めてくれる時代ではなくて、自分たちできちんとルールを作っていく。
その前提として、自分たちできちんとAIのリスクを評価して、責任を持って実装していくということが重要です。
また、これをやるのはなかなか個人とか、1つの会社では難しいですので、官民連携、社会全体で連携しながら、社会をどこに向かわせたいのかということの議論を重ねながら、具体的な対処方法というのを常に生み出していくというようなアプローチが重要になってくるかと思います。

今井さん
今までわれわれは地球上の賢さという点で王者だったわけです。
ホモ・サピエンス、人間というのは賢いという点で言うと、まさに頂点にいたわけですが、それが人工知能という、われわれとほぼ同等ぐらいのものが出てきたことで、やはり知能にも種類があって、人工知能はこういうのは得意だ、人間というのは実はこういうところが得意だったんだというところを見直す。
別の知能が出てきたことをきっかけに、人間の強みを見直すというのは、非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。

羽深さん
現実問題として、今井さんがおっしゃったように、AIモデルをゼロから開発するにはものすごくお金がかかります。これは日本だけではなく、むしろほとんどの国が自前ではAIをすべて解決することができないというのが現状です。
ですので、今いかにすべてが国産ではなくて、その他の国と連携しながら各国が戦略的な自立性を確保していくかということが、より重要な問題として、とりわけミドルパワーといわれるような国々の間で議論されるようになってきています。
そのときに、やはり最終的には世界でいちばんいいモデルを自分たちで開発する必要まではなく、むしろ今あるモデルをいかに社会に溶け込ませていくか。これをAIトランスフォーメーションという言葉で言ったりしますが、いかに今あるモデルを社会の中でうまく使っていくか。
そして極めて重要な部分、例えば防衛ですとか、基幹インフラとか、こういったものに関しては、できるだけ国産のものを使っていく。こういった方針を目指すということが、先日公表された自民党のホワイトペーパーでも書かれています。

安全保障と他国との連携 バランスは?

今井さん
特に安全保障と、僕は教育とかも入れていますが、この部分は国特有の事情が非常に入ってくるところなので、人工知能、直接的な出力に関わるやはりデータの部分、文書とか、データに関わる部分は、絶対日本が確保すべきだと思います。
もちろん学習に使うチップであるとか、そういう基盤インフラとかは一部別の国の技術に頼ってもいいと思いますが、根本的な最終出力のもとになっているところのデータというのは、やはり防衛であるとか、教育みたいなところについては、日本のものを使っていく必要があると僕は認識しています。

日本の強みとは?

羽深さん
今の議論にもあったような教育に関する、まさにわれわれの日本文化を体現したようなデータというのも非常に重要なものです。
それに加えて、日本の産業がもともと持っていた強み、例えば製造業、医療、介護、物流といった領域におけるデータというのは、日本にはたくさんあります。
そういったものを使って、それぞれの目的に特化したAI、これをバーティカルAIというような言い方をすることもありますが、そういった領域特化型で日本の強みを活かしたAIを作っていくというのは、これからの日本の戦略の1つになってくると思います。

今井さん
先ほど羽深先生おっしゃったような製造業というのは、やはり日本はとても強いです。
インターネットのデータというのはやはり、「グーグル」、「オープンAI」みたいなビッグテックが全部持っていってしまって、条件がもう同じですので、そこでたたかっても勝ち目はないです。
しかし、日本の多様な製造業のデータというのは、完全にその製造業の中に閉じ込められていて、ビッグテックといえどもアクセスできないものなので、それで学習できる日本の、今「フィジカルAI」と言われているロボットとかの、物理的な動作をするAIはやはり強いと言われています。
そしてエンタメもそうです。アニメーションやイラストが関わる部分、これはちょっと反発があったりもするんですが、ここもやはりデータを持っていて強いです。
また、ノーベル賞も今までとってきましたので、いろんな大学のラボの中にある研究データというのも、これはビッグテックが持ちえないものがありますので、日本の強みとして言える部分かと思います。

各国の規制のかけ方 どう見る?

羽深さん
EU、アメリカ、そして日本、それぞれ実はかなり異なる規制のアプローチを取っています。
まずEUは何が特徴的かというと、今ある規制に上乗せする形で、AIだけに特化した横断的、分野横断的な規制をかけているというのが特徴です。
これをもって日本はAIを規制していないということが言われたりするんですが、それは実は全くの間違いです。日本の中にはすでに医療に関する規制、金融に関する規制、道路に関する規制などがありますし、個人情報、著作権など、すでにいっぱい規制があるんです。ですので、規制が強いか弱いかという話ではなくて、分野ごとに扱うのか、あるいは包括するのかというのが日本とEUの違いです。
アメリカは、いわゆる製品の安全性、AIの安全性みたいなことに関しては、実はかなり規制をしないというスタンスを取っていて、むしろ各州が独自にAIを規制することを禁止するという大統領令まで出しています。
他方で、今回の「ミュトス」の件のように、安全保障に関する部分については、他国に出さないというポリシー、まさに輸出管理のポリシーを取っていたりですとか、あるいは2月のイラン攻撃の際には、むしろ軍事目的とか、あるいはサーベイランス、つまり監視の目的でもAIを使えるようにしなさいということを言ったりとか、かなり政府として安全保障に関しては独占していくんだというようなスタンスが、強く出ているかと思っています。

州の過剰なAI規制防止を盛り込んだ大統領令に署名するトランプ大統領(2025年12月)

規制のかけ方どうあるべき?

今井さん
開発ではなくて、できあがったものをどう規制するか、使用するときにどう規制するかという話になると思います。なぜかというと、例えば今回の「ミュトス」は、サイバーセキュリティー、ぜい弱性を特定する、危険だと言われていますが、これはぜい弱性を特定するために、何か危険なデータで学習したわけではないです。
そうではなくてプログラミングというふつうに能力を上げようとしていったら、同時に危険性も上がってしまったんです。知能というもの、賢いということは、どうしても諸刃の剣にならざるを得ない。賢くしていくと危険性も勝手に上がってしまうので、良い人工知能を作ろうとすると、必ず悪いところが絶対に出てきます。
ですので、開発段階で規制をするということは、それこそ薬を作り出す可能性がある人工知能を、これはウイルスに使えそうだから規制しようという話になってしまうので、やはりこれはできあがったものをどう使用するために規制するかという話にするのがいちばんちょうどいいかと思います。

羽深さん
古典的には、誰かが包丁で刺されたときに、包丁のメーカーは責任を負うのかというと、基本的には負わないですよね。ですので基本的には使用する場面で規制するというアプローチが正しいと思います。
ただ、そうは言ってもあまりに強力なツールなので、一部規制したほうがいいんじゃないかということが今、世界で話題になっているわけです。例えばディープフェイクによる性的な画像が作成できるようになる機能というのは、これはきちんと開発側で抑えてくださいとか。
あるいは何をしちゃいけないとは言わないけれども、きちんと開発にあたっての情報を開示してくださいといったようなタイプの規制は、実は今、結構世界各国で出てきているところです。

AI規制 法律は追いつくのか?

羽深さん
追いつきませんというのが、率直な回答になるかと思います。今の日本の民主主義システム上は、法律を1本つくろうと思うと、少なくとも2年、3年という歳月がかかります。
しかしこのAIの世界で2年、3年というと、これは本当にドッグイヤー、マウスイヤー、もっと早くAIの開発は進んでいきますので、はるか昔のことをターゲットにしているということになってしまう。
じゃあ法律はいらないかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、法律の中で、あなたはこれをやりなさいとか、これをやってはいけませんということを細かく書いていくということが無理になっていくということかと思います。
ですので、今後は法律の中身に書いてあることは非常にハイレベル、原則や達成すべき価値について書いていく。
そしてそれをどうやって実現するのかということに関しては、各企業や個人が自主的に取り組みを行っていって、なおかつ説明責任を果たしていくといったようなタイプの規制のアプローチを取らざるを得ないかと思います。

AIで雇用、教育はどうなる?

羽深さん
私も今、幼稚園児の子どもがおりますので、まさにそこをどうしようというのを日々悩んでいるところです。
ただ1つ思うのは、確かにAIは素晴らしい知能なんですが、実は人間の脳はものすごい素晴らしいシステムなんです。
例えば消費する電力は、人間の脳の場合、たった1つのLED電球を光らせるぐらいの電力で、これだけの知的な活動ができるといった、非常に効率的なモデル、これは実際に最先端のAIと比べると、数百万倍ぐらいのエネルギー効率ではあるんです。
さらにこのメカニズムというのは、過去40億年程度にわたる大変厳しい自然の淘汰を生き抜いてきたアルゴリズムですので、必ずしもロジックとか、損得勘定では説明できないような共感する力とか、正義感とか、道徳とか、そういったものが備わっているアルゴリズムなわけです。
ですので、確かにAIもすごいんですが、人間に本来備わっている力を信じて、そして他者をケアする、共感する、そして一緒に何かを作り上げていく、こういったものをやる力を磨いていく。
そして最終的に意思決定を行うといったところまできちんと力を磨いていけば、まだまだ人間はAIに負けないんじゃないかなと思っております。

今井さん
少なくとも研究上は、やはり人間の雇用が減っているというデータは確認できていて、今まで重要だと思っていた仕事、例えば情報処理とかはどうしても比重が減っていくと思います。
ただ、意外と人間の仕事というのは、そんな高度な知能で回っているかというと、そうでもないところがいっぱいあると思います。頭のよさというよりは、そのときその場にこの人がいて、その場で現場判断するみたいなことが結構あるんですね。
人工知能といえども何も知らないことを突然判断することができないので、やっぱりそういう即時的な、いろんな背景を踏まえた、人間社会の事情を踏まえた細かい判断とかというのは、人間の仕事になってくると思います。われわれ人間として生きてきた強みがあります。
人工知能は別にデータから学習しているわけですので、人間の体を持って人間の社会で経験を積んできたわけではないとすると、われわれのほうが知っていることがいっぱいあるはずです。ですので、そういうところに関わる判断というのは、これからも重要になってくると思います。
子どもの教育という点について言うと、今、僕が言ったこともそうですけれども、一方でAIネイティブな考え方を身につけようとも言っています。
例えば、かつて「アマゾン」の創業者のジェフ・ベゾスは、インターネットが出てきた時に、彼は書籍販売の専門家でも、小売の専門家でもなかったんですが、インターネットというものを前提に、何かそういう販売を考えたらどうなるのかというのをやっていったら「アマゾン」という帝国ができたわけです。
それと同じように、人工知能というすごい技術が出てきているので、今まで考えなかったような、人工知能を前提にした考え方をすると、すごいものが生まれるかもしれない。
これはやっぱり今から教育を受ける子どもにとってチャンスだと思うので、ぜひそういうところを重視していってほしいというふうに思います。

AIにどう向き合うべき?

羽深さん
私の専門の法律やガバナンスという観点から言いますと、これまでのように誰かがルールを決めてくれる時代ではなくて、自分たちできちんとルールを作っていく。
その前提として、自分たちできちんとAIのリスクを評価して、責任を持って実装していくということが重要です。
また、これをやるのはなかなか個人とか、1つの会社では難しいですので、官民連携、社会全体で連携しながら、社会をどこに向かわせたいのかということの議論を重ねながら、具体的な対処方法というのを常に生み出していくというようなアプローチが重要になってくるかと思います。

今井さん
今までわれわれは地球上の賢さという点で王者だったわけです。
ホモ・サピエンス、人間というのは賢いという点で言うと、まさに頂点にいたわけですが、それが人工知能という、われわれとほぼ同等ぐらいのものが出てきたことで、やはり知能にも種類があって、人工知能はこういうのは得意だ、人間というのは実はこういうところが得意だったんだというところを見直す。
別の知能が出てきたことをきっかけに、人間の強みを見直すというのは、非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。

羽深さん
現実問題として、今井さんがおっしゃったように、AIモデルをゼロから開発するにはものすごくお金がかかります。これは日本だけではなく、むしろほとんどの国が自前ではAIをすべて解決することができないというのが現状です。
ですので、今いかにすべてが国産ではなくて、その他の国と連携しながら各国が戦略的な自立性を確保していくかということが、より重要な問題として、とりわけミドルパワーといわれるような国々の間で議論されるようになってきています。
そのときに、やはり最終的には世界でいちばんいいモデルを自分たちで開発する必要まではなく、むしろ今あるモデルをいかに社会に溶け込ませていくか。これをAIトランスフォーメーションという言葉で言ったりしますが、いかに今あるモデルを社会の中でうまく使っていくか。
そして極めて重要な部分、例えば防衛ですとか、基幹インフラとか、こういったものに関しては、できるだけ国産のものを使っていく。こういった方針を目指すということが、先日公表された自民党のホワイトペーパーでも書かれています。

安全保障と他国との連携 バランスは?

今井さん
特に安全保障と、僕は教育とかも入れていますが、この部分は国特有の事情が非常に入ってくるところなので、人工知能、直接的な出力に関わるやはりデータの部分、文書とか、データに関わる部分は、絶対日本が確保すべきだと思います。
もちろん学習に使うチップであるとか、そういう基盤インフラとかは一部別の国の技術に頼ってもいいと思いますが、根本的な最終出力のもとになっているところのデータというのは、やはり防衛であるとか、教育みたいなところについては、日本のものを使っていく必要があると僕は認識しています。

日本の強みとは?

羽深さん
今の議論にもあったような教育に関する、まさにわれわれの日本文化を体現したようなデータというのも非常に重要なものです。
それに加えて、日本の産業がもともと持っていた強み、例えば製造業、医療、介護、物流といった領域におけるデータというのは、日本にはたくさんあります。
そういったものを使って、それぞれの目的に特化したAI、これをバーティカルAIというような言い方をすることもありますが、そういった領域特化型で日本の強みを活かしたAIを作っていくというのは、これからの日本の戦略の1つになってくると思います。

今井さん
先ほど羽深先生おっしゃったような製造業というのは、やはり日本はとても強いです。
インターネットのデータというのはやはり、「グーグル」、「オープンAI」みたいなビッグテックが全部持っていってしまって、条件がもう同じですので、そこでたたかっても勝ち目はないです。
しかし、日本の多様な製造業のデータというのは、完全にその製造業の中に閉じ込められていて、ビッグテックといえどもアクセスできないものなので、それで学習できる日本の、今「フィジカルAI」と言われているロボットとかの、物理的な動作をするAIはやはり強いと言われています。
そしてエンタメもそうです。アニメーションやイラストが関わる部分、これはちょっと反発があったりもするんですが、ここもやはりデータを持っていて強いです。
また、ノーベル賞も今までとってきましたので、いろんな大学のラボの中にある研究データというのも、これはビッグテックが持ちえないものがありますので、日本の強みとして言える部分かと思います。

各国の規制のかけ方 どう見る?

羽深さん
EU、アメリカ、そして日本、それぞれ実はかなり異なる規制のアプローチを取っています。
まずEUは何が特徴的かというと、今ある規制に上乗せする形で、AIだけに特化した横断的、分野横断的な規制をかけているというのが特徴です。
これをもって日本はAIを規制していないということが言われたりするんですが、それは実は全くの間違いです。日本の中にはすでに医療に関する規制、金融に関する規制、道路に関する規制などがありますし、個人情報、著作権など、すでにいっぱい規制があるんです。ですので、規制が強いか弱いかという話ではなくて、分野ごとに扱うのか、あるいは包括するのかというのが日本とEUの違いです。
アメリカは、いわゆる製品の安全性、AIの安全性みたいなことに関しては、実はかなり規制をしないというスタンスを取っていて、むしろ各州が独自にAIを規制することを禁止するという大統領令まで出しています。
他方で、今回の「ミュトス」の件のように、安全保障に関する部分については、他国に出さないというポリシー、まさに輸出管理のポリシーを取っていたりですとか、あるいは2月のイラン攻撃の際には、むしろ軍事目的とか、あるいはサーベイランス、つまり監視の目的でもAIを使えるようにしなさいということを言ったりとか、かなり政府として安全保障に関しては独占していくんだというようなスタンスが、強く出ているかと思っています。

州の過剰なAI規制防止を盛り込んだ大統領令に署名するトランプ大統領(2025年12月)

規制のかけ方どうあるべき?

今井さん
開発ではなくて、できあがったものをどう規制するか、使用するときにどう規制するかという話になると思います。なぜかというと、例えば今回の「ミュトス」は、サイバーセキュリティー、ぜい弱性を特定する、危険だと言われていますが、これはぜい弱性を特定するために、何か危険なデータで学習したわけではないです。
そうではなくてプログラミングというふつうに能力を上げようとしていったら、同時に危険性も上がってしまったんです。知能というもの、賢いということは、どうしても諸刃の剣にならざるを得ない。賢くしていくと危険性も勝手に上がってしまうので、良い人工知能を作ろうとすると、必ず悪いところが絶対に出てきます。
ですので、開発段階で規制をするということは、それこそ薬を作り出す可能性がある人工知能を、これはウイルスに使えそうだから規制しようという話になってしまうので、やはりこれはできあがったものをどう使用するために規制するかという話にするのがいちばんちょうどいいかと思います。

羽深さん
古典的には、誰かが包丁で刺されたときに、包丁のメーカーは責任を負うのかというと、基本的には負わないですよね。ですので基本的には使用する場面で規制するというアプローチが正しいと思います。
ただ、そうは言ってもあまりに強力なツールなので、一部規制したほうがいいんじゃないかということが今、世界で話題になっているわけです。例えばディープフェイクによる性的な画像が作成できるようになる機能というのは、これはきちんと開発側で抑えてくださいとか。
あるいは何をしちゃいけないとは言わないけれども、きちんと開発にあたっての情報を開示してくださいといったようなタイプの規制は、実は今、結構世界各国で出てきているところです。

AI規制 法律は追いつくのか?

羽深さん
追いつきませんというのが、率直な回答になるかと思います。今の日本の民主主義システム上は、法律を1本つくろうと思うと、少なくとも2年、3年という歳月がかかります。
しかしこのAIの世界で2年、3年というと、これは本当にドッグイヤー、マウスイヤー、もっと早くAIの開発は進んでいきますので、はるか昔のことをターゲットにしているということになってしまう。
じゃあ法律はいらないかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、法律の中で、あなたはこれをやりなさいとか、これをやってはいけませんということを細かく書いていくということが無理になっていくということかと思います。
ですので、今後は法律の中身に書いてあることは非常にハイレベル、原則や達成すべき価値について書いていく。
そしてそれをどうやって実現するのかということに関しては、各企業や個人が自主的に取り組みを行っていって、なおかつ説明責任を果たしていくといったようなタイプの規制のアプローチを取らざるを得ないかと思います。

AIで雇用、教育はどうなる?

羽深さん
私も今、幼稚園児の子どもがおりますので、まさにそこをどうしようというのを日々悩んでいるところです。
ただ1つ思うのは、確かにAIは素晴らしい知能なんですが、実は人間の脳はものすごい素晴らしいシステムなんです。
例えば消費する電力は、人間の脳の場合、たった1つのLED電球を光らせるぐらいの電力で、これだけの知的な活動ができるといった、非常に効率的なモデル、これは実際に最先端のAIと比べると、数百万倍ぐらいのエネルギー効率ではあるんです。
さらにこのメカニズムというのは、過去40億年程度にわたる大変厳しい自然の淘汰を生き抜いてきたアルゴリズムですので、必ずしもロジックとか、損得勘定では説明できないような共感する力とか、正義感とか、道徳とか、そういったものが備わっているアルゴリズムなわけです。
ですので、確かにAIもすごいんですが、人間に本来備わっている力を信じて、そして他者をケアする、共感する、そして一緒に何かを作り上げていく、こういったものをやる力を磨いていく。
そして最終的に意思決定を行うといったところまできちんと力を磨いていけば、まだまだ人間はAIに負けないんじゃないかなと思っております。

今井さん
少なくとも研究上は、やはり人間の雇用が減っているというデータは確認できていて、今まで重要だと思っていた仕事、例えば情報処理とかはどうしても比重が減っていくと思います。
ただ、意外と人間の仕事というのは、そんな高度な知能で回っているかというと、そうでもないところがいっぱいあると思います。頭のよさというよりは、そのときその場にこの人がいて、その場で現場判断するみたいなことが結構あるんですね。
人工知能といえども何も知らないことを突然判断することができないので、やっぱりそういう即時的な、いろんな背景を踏まえた、人間社会の事情を踏まえた細かい判断とかというのは、人間の仕事になってくると思います。われわれ人間として生きてきた強みがあります。
人工知能は別にデータから学習しているわけですので、人間の体を持って人間の社会で経験を積んできたわけではないとすると、われわれのほうが知っていることがいっぱいあるはずです。ですので、そういうところに関わる判断というのは、これからも重要になってくると思います。
子どもの教育という点について言うと、今、僕が言ったこともそうですけれども、一方でAIネイティブな考え方を身につけようとも言っています。
例えば、かつて「アマゾン」の創業者のジェフ・ベゾスは、インターネットが出てきた時に、彼は書籍販売の専門家でも、小売の専門家でもなかったんですが、インターネットというものを前提に、何かそういう販売を考えたらどうなるのかというのをやっていったら「アマゾン」という帝国ができたわけです。
それと同じように、人工知能というすごい技術が出てきているので、今まで考えなかったような、人工知能を前提にした考え方をすると、すごいものが生まれるかもしれない。
これはやっぱり今から教育を受ける子どもにとってチャンスだと思うので、ぜひそういうところを重視していってほしいというふうに思います。

AIにどう向き合うべき?

羽深さん
私の専門の法律やガバナンスという観点から言いますと、これまでのように誰かがルールを決めてくれる時代ではなくて、自分たちできちんとルールを作っていく。
その前提として、自分たちできちんとAIのリスクを評価して、責任を持って実装していくということが重要です。
また、これをやるのはなかなか個人とか、1つの会社では難しいですので、官民連携、社会全体で連携しながら、社会をどこに向かわせたいのかということの議論を重ねながら、具体的な対処方法というのを常に生み出していくというようなアプローチが重要になってくるかと思います。

今井さん
今までわれわれは地球上の賢さという点で王者だったわけです。
ホモ・サピエンス、人間というのは賢いという点で言うと、まさに頂点にいたわけですが、それが人工知能という、われわれとほぼ同等ぐらいのものが出てきたことで、やはり知能にも種類があって、人工知能はこういうのは得意だ、人間というのは実はこういうところが得意だったんだというところを見直す。
別の知能が出てきたことをきっかけに、人間の強みを見直すというのは、非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。

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