選挙のSNS規制 収益化の停止が不可欠だ
毎日新聞2026/6/13 東京朝刊855文字
選挙運動に関する与野党の協議会であいさつする自民党の逢沢一郎衆院議員(左から4人目)=国会内で2026年4月10日午後1時16分、平田明浩撮影
SNSで広がる偽・誤情報や誹謗(ひぼう)中傷が選挙をゆがめることのないよう、実効性のある対策が求められる。
選挙運動のあり方を検討してきた与野党の協議会が、法改正案の骨子をまとめた。今国会で公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法を改正し、来春の統一地方選に間に合うよう、来年3月1日からの施行を目指す。
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インターネット利用者に対し、候補者に関する虚偽事項や事実を歪曲(わいきょく)した情報を発信しないよう定める。生成人工知能(AI)で作られた画像・動画で、実物と誤認されるような場合は、AI製との表示を求める。
プラットフォーム事業者に対しては、悪影響を軽減するための「必要な措置」を取り、実施状況を年1回公表するよう義務づける。
衆院選で1億5000万回以上再生された自民党の広告動画。高市早苗首相を前面に出した=YouTubeより
背景には、刺激の強いコンテンツを拡散させ広告収入を得るようなアテンションエコノミーの広がりがある。情報発信のあり方に一定の規範を設ける点では一歩前進と言えよう。ただ、実効性には疑問符が付く。
収益化停止措置や収益を目的とするアカウントの表示など、対策の具体例を政府が指針で示すというが、どのような措置を講じるかは事業者の判断に委ねる。
表現の自由とのバランスが難しいのは確かだが、選挙は期間が限られ、偽・誤情報が拡散されると打ち消すのが難しい。収益化を停止すれば、偽・誤情報を発信する誘因は減る。
投稿自体はできるため、表現の自由との両立は可能だ。民主主義の基盤を損ねるリスクを考えれば、収益化停止の義務化が必要だ。
一方、選挙期間中に政党がネット上に出す政治活動広告を量的に制限するかどうかについては、結論を先送りした。現在、候補者への投票依頼となるネット広告は禁止されているが、政党の政治活動としては認められている。
今年の衆院選では、自民党がネット広告を大量に流し、結果に影響を与えたとみられている。資金力のある政党に有利に働くとして公平性の問題が指摘されており、対応が急務だ。
表現の自由を守りながら公正な選挙を実現するため、踏み込んだ対策を取ることが欠かせない。
